研究課題/領域番号 |
17K00692
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
環境政策・環境社会システム
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
板岡 健之 九州大学, カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所, 教授 (90553959)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 気候変動対策 / 費用便益分析 / 利他的便益 / 支払意思額 / 確率的生命価値 / コンジョイント分析 |
研究成果の概要 |
従来の気候変動施策に対する費用便益分析(CBA)において、明示的に考慮されていない利他的便益を推定するため、気候変動影響対策について利他的便益を考慮した表明選好法調査(選択実験)を日本、米国、インドネシア(標本サイズは各国1000)で実施した。 分析結果、健康被害削減を問うた質問では、利他的便益である他国のリスク削減に対して自国のリスク削減と大差ない支払意思額(WTP)が計測され、自国のリスク削減に対するWTPから2%の純粋時間選好が推定された。現代と将来の健康被害、物的被害、生態系被害の削減を合せてWTPを問うた場合、利他的便益の占める割合の大きい将来リスク削減が重視されることが示された。
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自由記述の分野 |
エネルギーシステム分析、環境経済
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
研究によって推定された利他的WTPの大きさから、気候変動対策の効果は利他的便益である他国将来のリスク削減に寄与する部分が大きいとしても、対策国のWTPで評価することが全く不適切とは言えないことが示された。 一方、他国の健康被害削減である利他的便益に関しては正の時間選好が示されず、被害全体に将来のリスク削減に対して一貫して重視する選好が推定されたことから、利他的便益を主とする気候変動対策の評価では割引率はあっても非常に低くすべきことが示された。これは、現在のCBA手法に割引率の点で大きな変更を求めるものであり、これにより気候変動対策の便益の金銭評価額は大きく上昇する可能性があることが示された。
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