母獣養育条件下において,今回の感作,評価方法では,ω3系脂肪酸の有無による下痢症状の程度の違いはなく,回腸の病理検査においても細胞表皮の炎症や肥厚などに大きな違いは確認できなかった.人工哺育条件下では,ω3系脂肪酸欠乏群で下痢症状のスコア値が高く,脾臓細胞のIFNやIL-4に対しての反応が高い傾向にあった.これらのことから,ω3系脂肪酸よりも養育中に母獣から供給される母子免疫の方が影響は大きそうであるが,母子免疫をあまり供給されない環境下では,ω3系脂肪酸は食物アレルギーを低減する可能性がある.今回,人工哺育で得られた新生仔の個体数が少なかったので,今後,匹数を増やして再評価する必要がある.
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