研究課題/領域番号 |
17K00952
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
升本 早枝子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 特任助教 (30596052)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ポリフェノール / プロシアニジン / 老化 / 老化モデルマウス / SAMP8 |
研究実績の概要 |
平成29年度はSAMP8マウスを用いたAPCの認知機能低下抑制効果の検討を行った。 まず、既報(Masumoto S., et al., J. Chromatogr. A, 2006)の方法に従いAPCをリンゴ果汁から調製した。酸化防止剤の亜硫酸塩を加えながら搾汁したリンゴ果汁をセパビーズSP-850樹脂を用いて搾汁したリンゴ果汁からリンゴポリフェノールを吸着、22%エタノールでAPCを溶出した。次に、ダイヤイオンHP-20ss樹脂を用いて、プロシアニジン類と他のポリフェノール類を分離し、得られたプロシアニジン画分をAPCとして以下の実験に供試した。 次に、4週齢の雄性SAMP8マウスを普通食群、普通食+APC群、高脂肪高ショ糖食群、高脂肪高ショ糖食+APC群の4群に分け、1群16匹とし48週間する。APC摂取群には水道水に0.5%濃度で溶解したAPCを自由飲水で投与する。飼育24週目にステップスルー方式による認知学習テスト(パッシブアボイダンス)を実施し認知機能の評価を行い、現在結果について解析中である。また、老化スコアによるスコア評価比較した。飼育期間終了後に麻酔下で解剖を行い、脳、血液、肝臓、腸管、盲腸内容物等を採取した。臓器重量の測定、血液生化学成分(中性脂肪、総コレステロール、血糖値)を行う他、各分析を実施し、現在その結果について解析中である。また、摘出した腸管および肝臓組織からtotal RNAを抽出し、cDNA を合成し、得られたcDNA をSYBR Green を用いた定量Real-time PCR に供し、腸管においては炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-6)、腸管バリア機能制御因子(Occulidin、ZO-1)などの解析を現在行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
SAMP8マウスの入荷が思ったより遅れた為、飼育開始が遅くなってしまったことにより遅れが生じている。動物搬入業者側で、SAMP8マウスの必要匹数が揃うまでに時間がかかったことから、入荷が想定外に遅れた。その為、2ヶ月程度飼育開始が遅れた為、遺伝子解析、血清成分解析などが29年度中に終了出来なかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、まず各種臓器における遺伝子発現解析を行うと共に、盲腸内容物および糞便による腸内細菌叢の解析を行う。解剖時採取した盲腸内容物からPower Fecal DNA Isolation Kit(MO BIO Laboratorys)を用いてDNAを抽出する。盲腸内容物から抽出されたDNAを鋳型とし、16S rRNA遺伝子領域をPCRにて増幅し、得られた精製DNAを用いて次世代シークエンサーにより腸内細菌叢の解析を行う。 次に、脳組織におけるアミロイドβ蓄積抑制効果の検討を行う。解剖時採取した脳組織よりRNAを抽出し、cDNAを合成する。アミロイドβの蓄積に関与する酸化ストレス関連因子およびインスリン受容体などの遺伝子発現を定量Real-time PCRにより解析する。解剖時に採取した脳組織のアミロイドβ量を、ELISA法を用いて測定する。また、アミロイドβ蓄積の免疫染色による組織学的評価を行う。 更に、尿及び盲腸内容物におけるメタボローム解析を行う。採取した尿および盲腸内容物をHPLC-TOF/MS分析に供し、代謝物の解析を行う。短鎖脂肪酸の測定は短鎖脂肪酸測定キット(ワイエムシイ)を用いてHPLC法により測定する。さらに、四重極・飛行時間型質量分析計(Sciex, Triple TOF 5600)を用い、盲腸内容物中の代謝物を分析する。分析は、ACQUITY UPLC BEH C18 (Waters) カラム (i.d. 2.1 ×50 mm; 1.7mm)を使用し、得られたピークデータ(保持時間とm/z)はMarker View(Sciex)による主成分分析によって解析を行う。
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