研究課題
引き続き仮想セキュリティ教材の開発を進め,より実践的なセキュリティ教材となるよう改善を進めた.2018年度に行った,小・中学生,一般社会人等向けのセキュリティイベントでの仮想セキュリティ教材活用で得られたユーザビリティ評価をもとに,私が所属する高専における情報セキュリティ演習で利用できるよう,さらに高度なセキュリティ技術を学習できるコンテンツに拡張した.そして実際に演習に導入し,その効果等について検討を行なった.教材を展開した対象は,電子情報工学科4年次および5年次で,それぞれ「ネットワーク工学実験」(5コマ)と「情報セキュリティ」である.また,具体的な拡張内容として,ブルートフォースアタックについては従来の総当たり攻撃以外にも英語,日本語による辞書攻撃による手法のクラッキング過程を可視化して学習できるようにしている.また,SQLインジェクションについても,クラッキング対象となるデータベースを拡張し,多様なクラッキング手法を疑似体験できるようにした.さらに,新たにCTFライクな課題を独自に作成し,学生がセキュリティ脅威と対策技術についてより興味を持って取り組めるように改善している.研究発表(学会発表)の「実践的ネットワーク工学教育」でも述べているように,今年度までに開発したシステムによる教育効果は良好であることが明らかになった.前年度までは学内に設置したオンプレミスサーバとIoTデバイスによって学生が演習できる環境として整備したが,仮想クラウドプラットフォーム上のサーバを利用し本システムの構築に着手した.これにより今般の新型コロナウイルス感染拡大に伴う遠隔授業等にも対応できると考えられる.
2: おおむね順調に進展している
研究を進める上で特に支障となる事案はなく,ほぼ順調に開発と教育への活用を進めることができたため.
機能の改善,評価をさらに推進し,より効果的な仮想セキュリティ教材システムとすることを目指す.新型コロナウイルス感染拡大などの状況下でも展開ができるよう,遠隔授業に対応したシステムに発展させる予定である.改善したシステムがもたらす教育効果に対する評価を学習者へのアンケート等により実施し,考察をとおして本研究の統括を行う予定である.
当初見積もりをした物品購入額が実際の購入額と異なったことや,新型コロナウイルス感染拡大影響によって予定していた研究発表や打ち合わせに伴う出張が一部実施できなくなったため.
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電子情報通信学会論文誌A
巻: Vol.J103-A, No.1 ページ: 25-34
IEICE Transactions on Information and Systems
巻: Vol.E102-D, No.5 ページ: 910-919
https://doi.org/10.1587/transinf.2018NTP0006