本研究は阿蘇カルデラ内に調査地を設定し,地形地質調査と土質試験を組み合わせることで,火山灰被覆斜面の崩壊発生機構について説明することを試みた。地形地質調査では降下テフラとクロボク土からなる互層が重力変形している露頭を発見し,変形がクロボク土層の流動で発生したことを明らかにした。土質試験結果からは,流動した土層が非流動のものと比較し強度が低下したことを証明した。また,MEMSを搭載した浅層孔内傾斜計を用いて斜面堆積物の変動の観測を試みた。流動に至るような変動は認められなかったものの,ミリスケールの微小な動きを捉えることに成功した。降雨量と斜面変動との関係を実証するため観測は継続して実施していく。
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