待ち行列理論におけるM/G/cモデルの厳密な解析は困難であることが知られており,サービス時間を相型分布で近似する方法がこれまでに検討されてきた.同じことが本研究で扱った途中退去が伴う場合にも当てはまる.解決策として,途中退去時間も相型分布で近似する方法が考えられるが,状態空間が指数関数的に増大するため数値計算には不向きである.本研究では途中退去時間を階段関数で近似する方法を検討し,数値計算に適した途中退去が伴う複数窓口をもつ待ち行列モデルが解析できることを示した.M/G/cモデルの厳密解が困難であることを鑑みれば,本研究成果はそれと同程度の困難な問題に対して,一つの解決策を与えたと言える.
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