研究期間以内にケミカルダイレクトリプログラミングによるRPE細胞の分化誘導法の確立はできなかった。一方で、ヒト線維芽細胞の間葉系細胞マーカー遺伝子の発現を減少させうる低分子化合物の組み合わせに関して興味深い知見を得た。こうした遺伝子発現変化は間葉系細胞から上皮系細胞への運命転換であるMesenchymal-to-epithelial transition (MET)に重要なステップであり、このMETは細胞のリプログラミングにおいて重要であることがこれまでに示されてきている。したがって、本研究によって得られた低分子化合物に関する知見は、引き続き行う細胞リプログラミングの研究に有益であると考える。
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