癌免疫治療では標的抗原の存在が不可欠であるが、一般の腫瘍抗原は免疫応答能力が弱い。一部の患者の腫瘍細胞は免疫誘導能力の高い変異型ネオ抗原を持つが、その割合は低く、これを持たない腫瘍細胞に対する治療法の開発が望まれている。 我々は抗原性の高い結核菌抗原ESAT-6を「人工ネオ抗原」として提示した細胞外小胞(ESAT-EV)を調製し、抗腫瘍免疫治療への応用を試みた。ESAT-EVは樹状細胞を強く活性化する能力を示した。これらESAT-EVまたは活性化した樹状細胞を担癌マウスに投与すると、どちらにおいても高い抗腫瘍効果が認められ、「人工ネオ抗原」提示EVの抗腫瘍ワクチンとしての有用性が認められた。
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