本研究は、高齢者社会の到来で「認知症」は上位のキーワードになっている。認知症の中で、遺伝性が他の認知症よりも比較的高いとされている家族性アルツハイマー型認知症の危険因子のひとつであるアポリポプロテインApoEの遺伝子型の1つε4を人為的に遺伝子組み換えしたノックインマウスを用いて、対照群のε3のノックインマウスとどのような違いがあるか検証した。ただ飼育した環境では、寿命に違いはなかったが、生存中の行動学的差異(探索行為:興味など意欲的な行動、活動範囲)がみられた。また、海馬の神経細胞数もε4保有マウスのほうが少ない傾向にあり、生存寿命ではなく健康寿命の必要性が明らかになった。
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