研究課題/領域番号 |
17K01563
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
森川 茂廣 滋賀医科大学, 神経難病研究センター, 客員教授 (60220042)
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研究分担者 |
平井 慎一 立命館大学, 理工学部, 教授 (90212167)
王 忠奎 立命館大学, 理工学部, 助教 (50609873)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 看護工学 / 口腔ケア / 力覚センサー / シミュレーター |
研究実績の概要 |
今年度は、力覚センサーを取り付けた独自の歯列モデルの製作に着手した。これまでは、市販されている口腔ケアシミュレータに加速度センサーを取り付けたもので検討を行ってきたが、義歯のように一体化した歯列をはめ込む構造であるため、周波数は検知できるものの、一本ずつの歯にかかる力の情報を得ることができなかった。本研究では、教育・研究目的であれば自由に使用可能なインターネット上に公開されている精細なCTデータを用いて、3Dプリンターで歯列モデルを製作することとした。3D構築した顔面のデータから下顎部分のみを抽出した後、片側7本の歯と残りの下顎骨部分を別個に造形した。シリコン系接着剤を用いて、7本の歯牙を固定し、裏側の各歯根部に箔ひずみゲージを埋設した。また歯ブラシの柄の正面と側面にも箔ひずみゲージを貼り付け、先端部分は交換可能な構造として、歯ブラシの形状、毛の硬さについての検討も可能とした。ひずみゲージの感度を標準化するため、ロードセルを用いてキャリブレーションしてgf(グラムフォース)としてリアルタイムで表示できるようにした。また、高齢者の歯列を模して数本の歯牙を欠損させたモデルも作製した。この歯列モデルの概略については、10月に開かれた第5回看護理工学会で発表した。ひずみセンサーの設置位置の最適化などの改良を行ったのち、歯科衛生士と口腔ケア未経験者の基礎データを収集し、そのテストデータをもとに、力覚データ処理プログラムの開発を行い、被験者を拡げた研究に向けての準備態勢を整えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
歯列モデルについては前歯から奥歯まで全ての歯にセンサーを埋め込むとともに、先端の交換のできるセンサーつきの歯ブラシを製作し、歯ブラシの力とそれぞれの歯にかかる力を同時にコンピュータ画面に表示するとともに、記録してデータ解析を行えるシステムを作り上げることができた。このシステムは、口腔ケアの手技の教育訓練のみならず、歯ブラシの性状の検討などにも応用できることが期待され、当初考えていたより研究の発展が期待できる。ただシミュレータのセンサーの数が予定していたよりも多くなり、調整に手間どったが、被験者を拡げた研究をおこなうための準備態勢は整えた。
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今後の研究の推進方策 |
被験者として、歯科衛生士さんを集めるのは困難であるので、歯科衛生士学校の学生、看護学科学生、医系以外の学生などを対象者とした研究を立案中である。口腔ケアを行う対象は、ヒトではなくシミュレータであるので、倫理面での問題は少ないと思われるが、被験者には、完全な自由意志で研究に参加できるよう十分な配慮を行うこととしている。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初ひずみセンサーのキャリブレーションのデータ記録のためにデーターロガー(約30万円)の購入を予定していたが、現有の他社製のデーターロガーを利用することができたため、その予算を翌年度に繰り越し、センサーとタイプの異なるシミュレータの製作に充当することとした。
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