医学的リハビリテーションの一環として開始されたパラスポーツは,パラリンピックなどの国際競技大会レベルで行われるようになり,「競技スポーツ」として成熟してきた.このような流れの中で,エリートレベルのアスリートにおけるスポーツキャリア発達への支援は重要な課題であるが,パラアスリートを対象とした研究成果の蓄積は,いまだ充分とは言えない.そこで本研究では,教育的・社会的インクルージョンの視座を取り入れつつ,パラアスリートのスポーツキャリアの段階に応じた心理・社会的支援方略の構築を目指して,研究を遂行してきた. 令和2年度は,(1) 過年度の研究成果を論文に取りまとめること,(2) 関連学会において成果を公表することに従事することを目的とした.申請者が成果を公表予定であったラウンドテーブルディスカッションは,コロナウイルスの世界的な感染拡大により学会がオンライン開催となったことを受けて,大会プログラムが変更となり中止となった.しかし,(1) わが国における教育 (体育) 場面 における課題,(2) 親の養育態度が障害のある子どもの運動・スポーツに対する態度に及ぼす影響,(3)「障害」の概念の捉え方に関する国際的な観点からの逸脱などの視点から成果をまとめて,論文として公表した.また,成果をまとめる過程においては,協力研究者とディスカッションしたことで,深い洞察を伴う視点を提示することができた.パラアスリートへのスポーツキャリアの段階に応じた心理・社会的支援方略を考える上で,大きなインパクトを残すことができた.
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