研究課題/領域番号 |
17K01815
|
研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
高崎 裕治 秋田大学, 名誉教授, 名誉教授 (40117297)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 学校教員 / 身体活動量 / 仕事時間 / 健康状態 |
研究実績の概要 |
秋田市内にある小学校と中学校の教員を対象に,日常の身体活動量,仕事時間,及び健康状態を調査し,その実態と相互の関連性を分析するのが目的である。 学校教員合計308人(中学校教員188人,小学校教員120人)の仕事の状況についてみると,一週間当たりの授業担当コマ数の平均は,小学校教員22.2コマ,中学校教員18.5コマであった。小学校教員の74%,中学校教員の59%が学級担任であり,受け持ちの学級人数の平均は小学校教員が25.6人,中学校教員は26.7人であった。放課後の課外活動の指導をしている者の割合は小学校教員の5.8%,中学校教員の69.7%であり,大きな違いがみられた。通常の一週間で,授業時間以外で従事した仕事時間の最も長いものは男の中学校教員を除いて授業の計画や準備に従事した時間であった。一方,男の中学校教員では課外活動に従事する時間が最も長かった。 調査日の出勤時刻(仕事場到着時刻)についてみると,小学校,中学校ともに午前7時半前後であり,男の方が女より早めに出勤していた,帰宅時刻(仕事場出発時刻)は小学校教員で18時半前後,中学校教員で19時半前後であり,男の方が女より遅めに帰宅していた。出勤時刻から帰宅時刻までの仕事場にいた時間を合計の仕事時間とすると,小学校教員は11時間前後,中学校教員は12時間前後であり,男の方が女より30分程度長かった。 健康状態についてみると,病気やけがなどで自覚症状のある教員の割合は小学校で男20%,女30%,中学校で男20%,女28%であった.病院や施術所(あんま・はりなど)に通っている教員の割合は小学校で男40%,女28%,中学校で男29%,女30%であった.日常生活で悩みやストレスを抱えている教員の割合は小学校で男30%,女68%,中学校で男54%,女73%であった.教員の多くが自分の仕事について悩みやストレスを抱いていた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
小学校と中学校の教員の日常の身体活動量,生活時間,及び健康状態を把握できるよう調査を進めている.研究期間3年間(平成29~31年度)のうち2年間が経過したが,この2年間は以下の(1)~(3)のように計画し,調査を実施してきた。 (1)調査対象校を選定し,各学校に出向いて研究趣旨を説明して学校長から調査許可を得るとともに,具体的に被験者を決定する. (2)秋季(9~11月)に身体活動量を測定するため各学校へ出向き,被験者に活動量計,及び仕事時間と健康状態の調査票を配布し,平日の一日について記録をお願いする. (3)一週間後に再度,各学校へ出向いて活動量計と調査票を回収する. 初年度に調査した学校教員は合計243人(中学校教員188人,小学校教員55人)と相当数について調査できたが相対的に小学校教員が少なかったので,平成30年度は主として小学校教員のデータを増やすことを目標にして調査した.その結果,平成30年度は秋田市内の小学校に勤務する教員合計65人について調査することができた。初年度の調査分と合わせると合計308人(中学校教員188人,小学校教員120人)の学校教員についての資料が得られた。小学校教員,中学校教員ともに100人以上から資料が得られたので研究は概ね順調に進捗している.
|
今後の研究の推進方策 |
小学校教員,中学校教員ともに多人数の資料が得られているので,今後はこれらの資料をもとにして分析を進めていきたい。身体活動量(物理的な仕事量,歩数,歩数時間等),仕事時間(出勤・帰宅時刻,総仕事時間等),健康状態(自覚症状,欠勤,ストレス,睡眠時間等)について基本的な集計はできているので,さらに相互の関連性について検討しなければならない。今回得られた資料の集計結果をOECD国際教員指導環境調査や国民生活基礎調査等の関連資料と比較しながら,学校教員の実態を報告することも必要である。また,小学校教員や中学校教員数人に面会して学校現場の実情を聴くことを予定している。現職教員の生の声を聴きながら,本研究の調査結果が職場での保健健康管理など健康推進活動の展開に役立つようにしていきたい.
|
次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に予定していて使用しなかった旅費の残が主であり,次年度に計画している旅費,物品費と合わせての使用を計画している。
|