研究課題/領域番号 |
17K01896
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
平林 今日子 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (00634932)
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研究分担者 |
佐藤 健一 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 准教授 (30284219)
川野 徳幸 広島大学, 平和センター, 教授 (30304463)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 核被害 / 子ども / 放射線 / 被ばく / 核実験 / セミパラチンスク / カザフスタン |
研究実績の概要 |
2018年度も初年度同様、8月に当初の予定通り現地調査を実施した。はじめに、ベスカラガイ地区・ブラス村に位置する子どものための障がい者福祉施設(リハビリテーションセンター)において、4名の保護者及び関係者に対するグループインタビューを実施した。ベスカラガイ地区は核実験場の北東に位置し、放射線による被害を多く受けた地区であるとされており、本施設は他の地区に先駆けて5年前に設立されたものである。インタビューに先立って施設内の見学を行い、所長による概要説明を受けた。カザフスタンの子ども障がい者福祉の一端を知る貴重な機会となった。 次に、疾患・障がいをもった子どもとその保護者4組へのインタビューを行った。対象者は7歳女児、8歳男児、10歳男児、11歳女児であり、4組とも子ども本人とともに両親が揃ってインタビューに応じた。 帰国後、インタビュー回答の文字起こしを行い、疑問点や不明点について研究協力者及び現地共同研究者と検討を実施した。その後、過去の調査で得た回答と併せ分析を開始している。具体的には、文字起こしを行って作成したテキストデータをもとに、統計的な解析を行う準備を進めている。 調査結果に関する成果報告も学会等の場で行ってきた。子どもの障がい・疾患について多くの保護者が「核実験によるものである」と認識していること、さらには、核実験が「どのように」影響したかについての認識が回答者によって様々であることを示した。現在、本報告結果についての論文を執筆中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2017年度及び2018年度の2年間で計7組+グループインタビュー1組のインタビューを実施した。本研究課題開始前に実施した9組を加えて合計20組以上のインタビューの実施が最終目標であるため、未実施分は残り4組である。来年度の調査で4組のインタビューを実施することは可能であるため、調査はおおむね順調に進んでいるといえる。 成果発表については、同志社大学赤ちゃん学研究センター定期セミナーにおける講演のほか、日本子ども学会においても報告を行った。また、2017年度までの分析結果について論文を執筆し、投稿中である。さらに別の研究課題において実施しているアンケート調査の結果と本研究課題の結果を比較検討した内容の論文を現在執筆中であり、2019年度中の採録を目指している。以上のように成果発表についても順調に行えているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は本研究課題の最終年である。まずは現在投稿中・執筆中の論文を確実に発表していく。調査については2019年度もこれまで同様、現地にてインタビューを実施する。すでに昨年の調査時に来年度も同様の調査を行う旨現地共同研究者に相談済みであり、準備を進めてもらっている。夏の調査までにその準備と並行して成果発表の準備を進め、帰国後は精力的に論文執筆や学会発表を行う予定である。 「子どもの安全保障」のための具体的な提言を行うことが本研究の最終目的である。2019年度は現地調査以外からの情報収集も積極的に行い、「子どもの安全保障」の視点からの検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
成果発表のための旅費が(学会等の開催地が勤務地近郊であった、招待講演のため先方負担であった等の理由で)安価であったため。 次年度は本研究の最終年度に当たるため、積極的に成果発表を行う予定であり、その際の旅費に充当する。
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