研究課題/領域番号 |
17K01896
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
平林 今日子 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (00634932)
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研究分担者 |
佐藤 健一 滋賀大学, データサイエンス教育研究センター, 教授 (30284219)
川野 徳幸 広島大学, 平和センター, 教授 (30304463)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 核被害 / 子ども / 放射線 / 被ばく / 核実験 / セミパラチンスク / カザフスタン |
研究実績の概要 |
最終年度である2019年度も当初の予定通り、セミパラチンスクにおいて現地調査を実施した。今年度は4組の疾患・障がいを持った子どもとその家族へのインタビューを行った。さらにもう一人の母親へのインタビューを実施したが、子どもの年齢が31歳であったため、本調査の対象外とした。4組の対象者は15歳女子の母親、17歳女子と父親、2歳男児と母親、10歳男児と母親であった。昨年度までに16組(本研究期間中は7組)へのインタビューを完了しており、今年度分をあわせて20組となった。カザフ放射線医学環境研究所の協力により、本研究課題開始当初の目標であった20組(本研究期間中においては11組)のインタビューを無事完了することができた。 インタビュー内容は帰国後文字起こしを行い、通訳者や現地共同研究者の協力を得て不明点等を確認・修正し、テキストデータとしてまとめた。その後20組分のテキストデータをもとにデータマイニング等の手法を用い、統計的な検討を開始している。同時に、質的な分析も開始しており、その成果の一部を論文にまとめた。 本年までの調査で、20組の対象者のうち、多くの保護者が子どもの疾患・障がいについて「核実験によるものである」との認識をもつことが分かった。保護者の多くは子どもの疾患や障がいを自分やパートナーの責任と感じ、すでに精神的な負荷を負っているにもかかわらず、さらに自分やパートナー、子ども本人が核実験の影響を受けてしまったことで「核実験さえなければ」との思いを持ち続けている。このように疾患・障がいをもつ子どもの家族に共通の思いがある一方で、「核実験さえなければ」との思いの内側にあるものは千差万別であることも分かった。本年はこれらの成果の一部を研究会にて報告した。
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