研究課題/領域番号 |
17K02013
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
飯塚 宜子 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 研究員 (60792752)
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研究分担者 |
島村 一平 滋賀県立大学, 人間文化学部, 准教授 (20390718)
山口 未花子 北海道大学, 文学研究院, 准教授 (60507151)
大石 高典 東京外国語大学, 現代アフリカ地域研究センター, 准教授 (30528724)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 地域間比較 / パフォーマンス / 動物と人間 / トランスカルチャー / カナダ先住民 / バカ・ピグミー / 演劇的手法 / ワークショップ |
研究実績の概要 |
7月にカナダ先住民クリンギット3つのネーションの協働開催によるテリトリーの湖を6日間かけて横断するカヌー行事に参加した。トーテム動物の文様が描かれた伝統的な10数名乗りのカヌーの文化復興であり、先住民同化政策という迫害の長い歴史からの治癒に関連する“新しい歴史をつくる”企画であった。このブリティッシュ・コロンビア州アトリンからユーコン準州カークロスへの旅は、土地や動物に関する知識や考え方、および技術を継承する教育機会でもあり「実践することで学ぶ」クリンギットの動態を共に行為する機会となった。最終目的地では3日間の伝統的なセレブレーションが行われ、アート、歌、踊り、薬草の知識等が、3つのネーションのみではなく、多くの非先住民やメディア等と共有された。 11月から2月にかけて、昨年度に引き続き、日本国内において初等教育課程児童と保護者を対象に、カナダ先住民クリンギット、アフリカ狩猟採集民バカ・ピグミー、アンデス先住民らの暮らしや環境観に学ぶワークショップを8回開催した。狩猟採集文化に共有される精霊などの考え方などを、児童らが主体的に捉える方法論を探求していくと、その方法は講義形式ではなく、学習者自身による即興的な演劇、パフォーマンス、神話などを活用することになった。これは現地での教育方法に近づくことでもあった。 ワークショップの内容と構成が、学習者にどのような体験をもたらしたのかについての分析は、学習者の当事者視点からの経験を記述することを目的とする会話分析を中心にすすめた。文化人類学会、国際理解教育学会、環境教育学会における発表を通して、現地で他者と行為し、類推し、間主観的に解釈し、また客観的な資料を参照する「フィールドワーク」と、教室における即興的なロールプレイや「パフォーマンス」を比較し、人がトランスカルチュラルな存在であることを前提とした文化理解について考察を行った。
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