研究課題/領域番号 |
17K02037
|
研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
井上 幸孝 専修大学, 文学部, 教授 (20399075)
|
研究分担者 |
田辺 加恵 立命館大学, 経済学部, 准教授 (50580479)
大原 志麻 静岡大学, 人文社会科学部, 准教授 (80515411)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 聖ヤコブ / サンティアゴ / スペイン / メキシコ / キリスト教 / 中世 / 植民地時代 |
研究実績の概要 |
代表者・分担者それぞれが研究課題(中世・近世スペイン、征服期・植民地時代のメキシコ等)についての調査・研究を進め、内外で研究報告や論文発表を行った。それぞれの研究の進展の成果について、2度の機会に相互の議論を深め、それぞれの研究課題の方向性を確認することができた。具体的には、11月に静岡大学の公開講座で3人全員が揃って講演し、意見交換と議論を進めた。また、3月の研究会では、3人全員の報告に加えて外部の報告者も招聘して議論を深めた。さらに、静岡大学の『翻訳の文化/文化の翻訳』に3人の共著論文を執筆した過程でも研究成果の共有と相互の意見交換をすることができた。個々の研究の進捗状況は次の通りである。 井上は、スペイン人のクロニカに加えて先住民系クロニカの聖ヤコブの記述も分析し、国内外の学会および講演で口頭発表を行った。また、植民地時代メキシコの教会関係を中心に聖ヤコブ図像の収集と分析を進めた。 田辺は、スペイン中世初期~盛期における聖ヤコブ崇敬の始まりと変遷を整理し、公開講座で紹介したほか、13世紀の年代記の中の聖ヤコブに関する記述を比較分析して、学会で発表した。また、サンティアゴ巡礼路沿いの諸都市で聖ヤコブの彫刻や絵画を調査して図像資料の収集を行い、その成果の一部を研究会と論文で報告した。 大原は、スペイン後期中世のサンティアゴ崇敬についての背景と流れを分析し、また先行研究についての再考を行い、学会及び公開講座にって発表を行った。また、チリでサンティアゴの図像を収集し、スペイン、ペルーにおける図像と比較研究を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目と同様、2年目もおおむね順調に研究が進んでいる。スペインやメキシコの海外調査の時期については、当初の計画と異なる時期に行っていることがあるものの、全体としては特に問題なく研究が進んでおり、個々の研究課題は想定通り順調に進展している。また、当初より計画していた研究会等の実施、代表者・分担者それぞれの課題間の議論も着実に進んでいる。11月には代表者と各分担者の3人全員が同一の講演会で講演し、意見を交換するとともに議論を深めた。3月の研究会でも3人全員が報告して議論を深めたのみならず、外部の報告者を招いて踏み込んだ議論を行なうことができた。 本研究を構成する3人の個別報告も、学会報告や講演、論文発表の形で順調に進んでいる。とりわけ、年度末に3人の共著論文を出すことができたのは、予想を上回る成果だった。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続きこのペースで研究を進め、研究成果の口頭発表や論文発表を進めていく。平成31年(令和元年)度には代表者と分担者全員がスペインで現地調査を行う予定である。 井上は、これまでの研究成果を論文としてまとめるのと同時に、植民地時代のメキシコ先住民共同体の間で聖ヤコブ信仰が広がりを見せた歴史的経緯に関しての史料を収集し、その分析に着手する。 田辺は、前年度学会で報告した史料比較の成果を論文として発表する。同じく前年度に行った図像研究の延長線上として、14世紀の聖ヤコブ騎馬像についても分析を進め、その成果を研究会で発表するとともに、論文に仕上げて投稿する。また、イベリア半島の他の聖人、特に聖ヤコブと同様に騎馬姿で表現される聖人に対する崇敬についての研究を行い、聖ヤコブ崇敬との比較を行う。 大原は、カスティーリャにおける後期中世のサンティアゴ崇敬と王権の関係について研究成果の論文発表を行うとともに、コンキスタドーレス第一世代の資料を分析し、カスティーリャ王国とアメリカ大陸との崇敬の連関と変容についての研究に着手する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
海外調査に出るタイミングの問題で次年度使用額が生じることとなった。次年度使用額は、平成31年(令和元年)度のスペイン調査を行うために必要な経費に充てられることになる。
|