研究課題/領域番号 |
17K02194
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
哲学・倫理学
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
小林 琢自 立命館大学, 文学部, 非常勤講師 (60518091)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 現象学的社会学 / ヴァイマル期ドイツ精神史 / 1920年代日本社会学史 |
研究成果の概要 |
法哲学者、尾高朝雄の現象学的国家論における「全体」概念の理論的根底には1920代日本におけるドイツ社会学および現象学受容の典型的傾向が認めらる。とりわけクラカウアーの『学としての社会学』からの決定的な影響があった。尾高は同著の問題設定を引き継ぎつつ、ケルゼン純粋法学の基礎づけという場面に移して国家論へと展開し、フッサールの本質論によって磨き上げ、さらにハイデガーの道具全体性を挿入して独自の底礎連関を論じた。しかし同著にはヴァイマル期ドイツにおける科学としての社会学建設への期待とともに、保守的ロマン主義的な諸概念が伏在しており、ここに尾高のテンニエスからヘーゲルへの接近の手がかりが発見された。
|
自由記述の分野 |
西洋哲学
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
現象学的な見方において国家は、個々人の生における社会団体(全体性)のリアリティーの問題として捉え直される。本研究は、尾高朝雄の“現象学的”国家論における「全体」概念が、一方で「実在性に根差した社会的現実と理念的存在との連関」を構造的に解明する機能をもち、他方で実在国家の類型論を形成するものであり、とくにこの「全体」概念がヴァイマル期ドイツの錯綜した精神性と同時代の日本におけるドイツ社会学受容の経緯から生成され展開されたことを明らかにした。こうした成果は、国家全体主義に傾いた戦中の主張や、戦後民主主義教育への尽力といった尾高法哲学の変遷を一貫した文脈において捉えるための重要な意味を持っている。
|