研究課題/領域番号 |
17K02253
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
中村 大介 豊橋技術科学大学, 総合教育院, 准教授 (70726611)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | カヴァイエス / 青年運動 / プロテスタンティズム / エピステモロジー |
研究実績の概要 |
2018年度は昨年度に引き続き、「ドイツにおける青年運動および神学に関するカヴァイエスの見解」を研究した。ドイツ留学(1930-31)後のカヴァイエスの論文の精読に加え、彼が参照したロマーノ・グアルディーニ等の神学者の文献、及びウォルター・ラカー『ドイツ青年運動』(1962)などの二次文献にもあたった。その結果、以下の三点が明らかになった。 第一に、青年自身の自律性承認のための反抗という「内在的理由」において、カヴァイエスは青年運動を評価しているが、この価値判断は、数学における概念の「内的」連鎖や自律性を重視する彼の数理思想と通底している。第二に、その数学の自律性は跳躍や断絶を含むものだが、宗教社会運動においてもまた、彼は「断絶」や絶えざる再開を重視している。最後に、第二次世界大戦中、彼は対ナチス抵抗運動を展開することになるが、その際に基調となる態度が論文中にすでに垣間見える(それは一方で、自律性承認のための反抗においてであり、他方で、その反抗の際に自ら危険を冒すことで転覆を果たそうとする行動においてである)。 そして、以上の成果を込めた詳細な訳註及び解題を付して、カヴァイエスの論文「ドイツにおける青年運動」(1931)の翻訳を豊橋技術科学大学の紀要『雲雀野』に掲載した。 また、カヴァイエスの諸論文は1998年に雑誌再録されたが、タイトルの変更や相当数のテクストの異動が見られたため、夏にフランスに滞在し、元となった論文をすべて入手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「ドイツ青年運動に関するカヴァイエスの見解」に関して、その中核部を明らかにでき、また翻訳も出すことができたが、学会発表や論文という形で残すことができなかった。学術成果報告の面で当初の目標を達成できなかったため、「やや遅れている」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
2017年度に先送りにした「高等師範学校時代のカヴァイエスの宗教活動」に取り組み、彼のプロテスタンティズムの全体像を把握することを目標とする。また、残る研究テーマたる「カヴァエイスの家庭環境におけるプロテスタンティズム」についても、母方の信仰に影響を与えたE・フロサールの著作の検討から始めて、可能限り解明を進めて行きたい。
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