研究課題/領域番号 |
17K02279
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研究機関 | 東京藝術大学 |
研究代表者 |
福中 冬子 東京藝術大学, 音楽学部, 教授 (80591130)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 文化プロパガンダ / 冷戦 |
研究実績の概要 |
今年度は主な実績として、8月に米国メリーランド州の国立公文書館で行った資料調査が挙げられる。第二次大戦中、米国軍事情報局The US Office of Wartime Informationは、国内での情報統制や国内外での文化プロパガンダプログラムを策定、運営した。同局は42年に創設され、終戦と同時に45年に解散し、その後はその機能の一部は、戦略諜報局へと移管されたため、冷戦期における文化プロパガンダプログラムの源泉のひとつとして、OWIの活動を見ることができる。そのプログラムは広範囲におよび、たとえば日系人の収容所への強制収容のロジックを組み立てたのもOWIだったが、そうした内政活動とは別に、文化・芸能面でもOWIは多様なプログラムを策定・実行した。今回の資料調査では主に、バンドや小規模アンサンブルを使った国内むけプロパガンダや、映画や講演を通じた同盟国に向けたプロパガンダ活動の資料を調査した。 ここで得られた知見の一部は、「政治と音楽」という枠組みにおいて、平成29年11月に東京大学駒場キャンパスで行われた、作曲家ユン・イサンのシンポジウムでの発表の応用された。 また2018年3月にはスイス・バーゼルのパウル・ザッハー財団にて、米国人作曲家エリオット・カーター関係の一次資料を調査した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上で述べた、米国国立公文書館のOWI関係の一次資料が、思ったより整理されておらず、また詳細なfinding aidsも作成されていない状態のため、未だ、その全体像がつかめていないため、再度資料調査が必要である。またこれ以外にも、歴代大統領個人図書館に所蔵されているであろう資料もあることがわかったため、そちらも調査する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
上に述べたとおり、国立公文書館での再度の資料調査を予定しているとともに、ニューヨーク州ハイドパークにある、ルーズベルト大統領図書館における資料調査も予定している。また2018年7月に行われる、日本音楽学会東日本支部定例研究会にて、昨年度の調査結果の発表を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
9月および3月に行った海外資料調査において、入試業務・学会関連業務ほかのため、当初計画していたよりも短い期間での滞在となったため。
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