研究課題/領域番号 |
17K02281
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
美学・芸術諸学
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
二村 淳子 鹿児島大学, 総合科学域総合教育学系, 講師 (20782452)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | ベトナム近代美術 / インドシナ / インドシナ美術学校 / ベトナム知識人 / ファム・クイン / 美術の初出 / 東アジア美術 / ベトナム画家 |
研究成果の概要 |
本研究は、フランス支配下のベトナムで誕生した「美術」の概念を、装飾との関係において明らかにすることを目的とした。具体的には、和製漢語「美術」のクオック・グー表記であるベトナム語「美術(My thuat)」という言葉が、仏語Beaux-Artsの訳語として使われ始める20世紀初頭、どのような文脈で、どのように理解され、どのように根付いたのかを調査した。その結果、ベトナムの「美術(My thuat)」は、現在用いている意味とは異なり、工芸品のための装飾やデザインを指す言葉としてベトナム人たちに受け止められていたことが明らかになった。
|
自由記述の分野 |
芸術、美術、フランス文化、東アジア文化、比較文化
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまで、ベトナム美術史は、「美術」という西洋由来の翻訳造語を点検することなしに研究されてきた。つまり、「美術」の枠組みの外にある要素を看過し、お互いの「美術」が等価であることを前提として研究されてきたわけである。当研究は、諸文脈が複雑に絡み合う20世紀初頭のベトナムという時空間の知識体系を再現しつつ、フランスとベトナムの「美術」の差異を明らかにし、フランスが植民地に要求していたものは決して「絵画」や「彫刻」ではなかった事実を裏付けた。 当研究の成果は、ベトナム近代美術史を新たに位置づけなおす契機を与え、また、アジアにおける「美術」という語彙の生成と流通にも貢献できたのではないかと自負している。
|