江戸時代末期に出版された錦絵の風刺画を、風刺の読み解きのコードや主題をもとに、以下のカテゴリーに分類した。 1)武者絵など過去の歴史的出来事に偽装したもの。2)異類合戦に事寄せたもの。3)市井風俗画を装ったもの。4)子供あそびに仮託したもの。5)鳥観図に戊辰戦争の戦場を重ねたもの。6)百鬼夜行図などの妖怪画に仮託したもの。 この分類をもとに、風刺画作成にも従来の武者絵において幕府の統制を回避する手法が応用されていることを明らかにした。また、従来風刺画と認識されていなかった錦絵をあらたに風刺画として抽出しうる可能性を見出しえた。成果の一部は、国立歴史民俗博物館の特集展示の展示内容に反映させた。
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