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2020 年度 実績報告書

近世期日本の「国家像」形成に果たした和歌の思想を解明する新研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K02445
研究機関新潟大学

研究代表者

錦 仁  新潟大学, 人文社会科学系, 名誉教授 (00125733)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワード歌枕・名所 / 歌枕の名所を藩内に設定する / 藩主の和歌活動 / 藩主の領内巡覧 / 国家像
研究実績の概要

東北地方の諸藩の藩主及び文人藩士による歌枕の名所設定に関して、従来の和歌研究とは異なる新しい観点から新しい論文を数多く作成・執筆し学会誌等に発表した。また間もなく(2021年の前期)それらの研究成果を示す著書を刊行する。
コロナ禍で調査旅行が思うように出来なかったが、それ以前の調査旅行で各地の図書館・資料館・博物館等で閲覧・撮影した、これまで未調査であった新資料を多量に蓄積してあるので、それをもとに研究を遂行し、所期の目的をほぼ達成することが出来た。
新しい成果を一つあげてみる。従来の歌枕・名所の研究は、都の歌人たちが遠国の歌枕を想像し、あるいは、その歌枕を詠んだ古人の歌をふまえて追従的に歌を詠むという習慣なので、その歌枕が時代と歌人によって、どのように詠まれ方が変化してくるかを捉えるものであった。都中心、著名歌人中心の和歌研究であり、かれらの表現史を明らかにするものであった。
本研究は、和歌の根本にあるのは、和歌は神世の昔から詠み継がれているものであって、和歌の歴史=国家の歴史、つまり和歌=日本という強力な観念である、という立場から研究を進めてきたし、現在も進めている。歌枕の名所を造ることは、東北地方の諸藩にお藩主の指示のもと広く行われてきたことであった。それ以前、すなわち室町時代においても、すでに地方では歌枕の名所を造ることがなされていた。また和歌は、平安時代から日本人は身分・性別に関係なく誰もが詠む、そう言う国である。よって日本の「風俗」(くにぶり)であると認識され、そういう観念を継承することとで江戸時代へと続いてきた。それゆえ、地方に眼を広げて、日本および日本人にとって、和歌とはどのようなものであったかを、これまで知られてこなかった資料を発掘し、それを分析することによって新しい研究の成果をあげることができた。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件) 図書 (4件)

  • [雑誌論文] 北へ行く旅2021

    • 著者名/発表者名
      錦 仁
    • 雑誌名

      『月刊 俳句界』

      巻: 2月号 ページ: 48-52

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] 歌枕と名所──湯殿山から象潟へ2020

    • 著者名/発表者名
      錦 仁
    • 雑誌名

      『東アジアの自然観──東アジアの環境と風俗』(東アジア文化講座、文学通信)

      巻: 第4巻 ページ: 89 -102

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] 歌枕から名所へ──和歌研究の視野に入れるべきか2020

    • 著者名/発表者名
      錦 仁
    • 雑誌名

      『和歌史の中世から近世へ』花鳥社

      巻: 第1巻 ページ: 489-508

    • 査読あり / 国際共著
  • [図書] 『和歌の国「日本」──歌合を読む』2021

    • 著者名/発表者名
      錦 仁
    • 総ページ数
      370
    • 出版者
      花鳥社
  • [図書] 『東アジアの自然観──東アジアの環境と風俗』2021

    • 著者名/発表者名
      錦仁・ハルオ/シラネ・小峯和明ほか
    • 総ページ数
      430
    • 出版者
      文学通信
    • ISBN
      978-4-909658-47-0
  • [図書] 和歌史の中世から近世へ2020

    • 著者名/発表者名
      錦仁・田渕句美子ほか
    • 総ページ数
      633
    • 出版者
      花鳥社
    • ISBN
      978-4-909832-27-6
  • [図書] 大名文化圏における〈知〉の饗宴2020

    • 著者名/発表者名
      錦仁・平林香織ほか
    • 総ページ数
      481
    • 出版者
      世音社

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公開日: 2021-12-27  

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