研究課題/領域番号 |
17K02454
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
神楽岡 幼子 愛媛大学, 法文学部, 教授 (00277807)
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研究分担者 |
水田 かや乃 園田学園女子大学, 近松研究所, 教授 (40209755) [辞退]
黒石 陽子 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (40247268)
野口 隆 大阪学院大学, 経済学部, 准教授 (50288742)
赤間 亮 立命館大学, 文学部, 教授 (70212412)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 役者評判記 / 劇評 / 歌舞伎 / 翻字本文 / 安永天明寛政享和 / 専門語彙索引 / デジタルアーカイブ / 江戸文化 |
研究実績の概要 |
本研究は『歌舞伎評判記集成 第三期』の対象となる安永期から享和期(1772-1804)の役者評判記について、用字の問題、諸本異同の問題等の諸問題を分析し、江戸文化を理解する上で、文化情報として役者評判記をいかに活用するかという情報活用のあり方を提示することを目的としている。あわせて正確な翻字本文を材料に、的確に情報を引き出すためのシステムを構築するものである。 平成30年度には、基礎作業となるD作業(校訂本文の完成・解題素案の作成)、および、D作業からあぶり出された諸課題の分析、検討を行った。具体的には、(1)役者評判記の用語と用字の問題分析、(2)役者評判記の諸本に関わる問題分析、(3)役者評判記の活用に関わる基礎研究課題の事例収集を行い、それぞれの諸課題について検討し、また事例に応じて原本の再調査を行いつつ、校訂本文の精度を高め、次段階となるE原稿の作成を進めた。研究成果は『歌舞伎評判記集成 第三期 第二巻』として、安永5年~安永7年にいたる計11点の役者評判記の校訂本文および解題を公開した。 総合情報書庫の構築に関しては、評判記本文の全文検索システムを評判記原本の画像と翻字本文を連動させたシステムを構築。デジタル本文アノテーションシステムと連携したテキストアーカイブシステムにバージョンアップした。これにより、刊行した冊子本文と原本画像とが連動して、相互に確認ができるようになった。また、第三期翻字作業のより高度な情報環境を確保し、翻字効率ならびに精度を上げるための基礎データとして、『歌舞伎評判記集成』第二期・第三期のデジタルテキストの作成を開始。第二期に関しては、デジタルテキストをほぼ完成させた。 上記作業を統括し、問題点の整理検討を行うため、6月には研究協力者を含めた全体会を持ち、また、6回(6月、7月、9月、11月、12月、3月)の事務局会議を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に引き続き、(1)役者評判記の用語と用字の問題分析、(2)役者評判記の諸本に関わる問題分析、(3)役者評判記の活用に関わる基礎研究課題の事例収集を行い、それぞれの諸課題について検討を進めている。 『歌舞伎評判記集成 第三期 第二巻』の公刊に加え、(1)については野口隆「翻字の諸問題 その一」として、(3)については齊藤千恵「『歌舞伎評判記集成 第三期』翻字作業におけるデジタルデータ活用」として成果を公表(詳細は「10.研究発表」の項目参照)している。(2)については水田かや乃企画「役者評判記展」(前期「八文字屋本の成立とその特徴」2018年5月27日~8月19日、後期「冊子体役者評判記から一枚摺役者評判記、役者評判絵へ」2018年10月20日~2019年1月31日、於園田学園女子大学近松研究所)を開催したほか、すでに出版された『歌舞伎評判記集成』第一期・第二期(万治~明和期(1658-1772))の新出役者評判記を視野に入れた書誌調査を開始するなど、着実に成果を重ねている。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の研究成果を踏まえ、3点の課題について、さらに研究を継続する。本年度は『歌舞伎評判記集成 第三期 第三巻』所収対象の計12点の役者評判記の校訂本文および解題の精度をあげ、E原稿(校訂本文・解題の確定)を作成するとともに、第三巻以降に所収予定の役者評判記のD作業(校訂本文の完成・解題素案の作成)を続行しつつ、諸課題の分析、検討に取り組む。 外題・人名・用語索引のためのアノテーション付与について、引き続き作業を進め、また第一期のデジタルテキストの作成も実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末3月分の謝金が次年度に繰り越されたが、作業は引き続き進める。2019年度は、年度冒頭からの作業を継続しており、予定通り予算執行できる見通しである。
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