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2017 年度 実施状況報告書

19世紀英米作家のホームの感覚と太平洋表象についての研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K02496
研究機関金沢大学

研究代表者

山本 卓  金沢大学, 学校教育系, 教授 (10293325)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード宣教師 / 太平洋 / 英語圏作家 / 植民地主義
研究実績の概要

平成29年度は19世紀の太平洋イメージを再定義するため、19世紀初頭から中盤にかけての宣教師の記録(おもにJohn WilliamsによるNarrative of Missionary Enterprises in the South Sea Islands (1837)とWilliam EllisのPolynesian Researches (1829-))の読解と関連資料の検証に充てた。なかでも後者はきわめて詳細で多岐にわたるポリネシア地域の観察記録を提供しており、それと比較すると19世紀末から20世紀初頭にかけてR. L. スティーヴンスンやジャック・ロンドンが残した旅行記は個人的記録というナイーブさが顕在化する。しかしながら、こうした作家の「個人性」は本研究において重要な要素の一つであるため、宣教師たちが残した先行記録は研究の指標として大きな意味がある。他方、宣教師のホームの感覚については、9月初旬のロンドン大学SOAS校への資料収集によって検証を進めた。当然のことながら、彼らのホームはイギリスである。しかし、ロンドン宣教師協会に残された当時の書簡を読み返してみると、現地文化に深く入り込み、そこで様々な慣習の違いを目の当たりにするときに、彼らの価値観やイギリス人性が揺さぶられる痕跡を発見できた。キリスト教の伝道者としての使命感が瓦解することはないものの、自らの存在意義を自問する姿は、19世紀末の太平洋を舞台にした小説でたびたび登場する宣教師像と重なり合うことが確認できる。また、ロンドン大学で収集した19世紀末の宣教師の資料にはスティーヴンスンなどの写真も多数含まれており、今後の研究において有益なものとなる。なお初年度の成果の一部は、平成29年10月の日本英文学会中部支部大会シンポジウムでのパネリストの一人として口頭発表をおこなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成29年度は宣教師関連の資料の読解、ロンドン大学における資料収集、および学会での成果発表と当初の計画通りに進んだ。

今後の研究の推進方策

宣教師関連の研究を継続する一方で、19世紀初頭から中盤にかけての太平洋文学作品の読解に着手する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] オセアニア文学とAnthropocene―ポスト・コロニアリズムと環境学の接点を探る2017

    • 著者名/発表者名
      山本卓
    • 学会等名
      第69回日本英文学会中部支部大会

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公開日: 2018-12-17  

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