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2019 年度 実施状況報告書

モダニズムと<非白人>文化の相互交渉―ウィンダム・ルイスとヘミングウェイを中心に

研究課題

研究課題/領域番号 17K02559
研究機関中央大学

研究代表者

中村 亨  中央大学, 商学部, 教授 (70328029)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワードモダニズム / 異文化交流
研究実績の概要

ヘミングウェイの文学上の師であるエズラ・パウンドが、ウィンダム・ルイスと共に西欧近代の伝統に反逆する芸術運動ヴォーティシズムを立ち上げる際、日本の俳句を参照しつつその一方で、俳句の伝統を踏まえ英語で詩作を行っていた同時代の日本人文学者ヨネ・野口をライバルとし、彼と競合して自らの進路を定めていったことを検証した。
パウンドは、西欧とは対照的な日本の伝統を礼賛する野口の存在を強く意識しながら、野口との差異を強調するかたちで新たな文学の可能性を切り拓いていったのだった。
パウンドと野口の往復書簡や伝記研究に基づいた二人の直接的な関わり合いに加え、パウンドのヴォーティシズム立ち上げに至るまでの、二人の詩作を含めた社会への発信活動を比較検証し、考察を進めた。特に俳句の形式を模倣してパウンドが創作した詩 "In the Station of the Metro" と、その詩に自ら言及しながら単純性の美を謳いあげたヴォーティシズムの宣言文とその成立過程を一方で精査し、他方でそのパウンドの宣言の直前に野口がオックスフォード大学で行った俳句の斬新さと英文学の詩的伝統批判の講演に目を向け、その講演とパウンドの宣言との関係性を明らかにすることに主眼をおいた。
研究の成果は、オックスフォード・ブルックス大学で研究者と大学院生向けの講演として発表し、講演を聞きにきた英文学と日本文学の研究者双方から有益な意見や質問を得た。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

オックスフォード大学の図書館を中心に、エズラ・パウンドと野口米次郎についての資料を収集することができ、研究の成果をイギリスの研究者に示して有益なフィードバックが得られた。

今後の研究の推進方策

エズラ・パウンドに加え、ウィンダム・ルイスをはじめとする他のヴォーティシズムに参加した芸術家たちと、彼らが「オリエンタル」「プリミティブ」と受け止めた異文化の芸術との関わりを検証していく。またエズラ・パウンドがヴォーティシズムを通して追及しようとした新たな芸術の意義と可能性を、一つにはその先駆者T・E・ヒュームに遡ることによって、もう一つにはその後継者アーネスト・ヘミングウェイに与えた影響を探ることによって検討していきたい。

次年度使用額が生じた理由

コロナウィルスの影響により、2020年春に予定していた調査旅行に行けなくなった。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] Ezra Pound and Japanese Artists2019

    • 著者名/発表者名
      Toru NAKAMURA
    • 学会等名
      Research Seminar, Brookes University
    • 招待講演

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公開日: 2021-01-27  

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