研究課題/領域番号 |
17K02559
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
中村 亨 中央大学, 商学部, 教授 (70328029)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | モダニズム / 人種 / ハーレム・ルネッサンス |
研究実績の概要 |
当該研究課題の成果を単著の研究書として刊行することを目指し、昨年秋に科研費の研究成果公開の募集に応募し、学術図書出版助成を申請した。 申請で原稿を提出した研究書は、序章および本論6章によって構成されており、全体の狙いとしては一方でアーネスト・ヘミングウェイ、シャーウッド・アンダソンとウィンダム・ルイスという白人作家、他方でジーン・トゥーマーとW・E・B・デュ・ボイスを中心とする黒人作家・芸術家に焦点を当て、白人のモダニストたちとハーレム・ルネッサンスに貢献した黒人創作者たちとの相互関係を浮き彫りにすることを目指す論考である。 1章ではアンダソンの短編集 Winesburg Ohioとそれに対抗するかたちでトゥーマーが書いた短編集Cane、そしてそのトゥーマーへの応答としてアンダソンが書いた小説Dark Laughter の対話的関係性を分析し、二人の相互交渉を明らかにした。2章ではDark Laughter とヘミングウェイによるそのパロディTorrents of Springs の関係、3章~5章ではハーレム・ルネッサンスの作家たちを鼓舞したフランスのアフリカ系作家ルネ・マランの小説とその書評をいち早く発表したヘミングウェイの関係、そしてヘミングウェイの詩で大きく取り上げられている黒人パフォーマー、バート・ウィリアムズとヘミングウェイの関係を考察するとともに、ヘミングウェイの作品に散見される黒人登場人物たちについてのヘミングウェイの扱い方を考察した。特にThe Sun Also Rises と黒人ポーターが登場する短編Porterの草稿と完成稿との比較では、未踏の領域を踏査し発見があった。そして6章ではルイスとデュ・ボイス、アンダソンという三者の相互交渉を浮き彫りにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
出版助成に採択されなかったため未だ出版には至っていないものの、研究成果を研究書としてまとめることができたから。
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今後の研究の推進方策 |
書き上げた研究書を加筆修正し、出版を目指す。書き直した原稿で出版助成に再度応募するか、自費出版等の方法で助成に頼らずに出版するかは現在検討中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症の流行のため、当初計画していた海外調査を行えない状態が続いているため。次年度使用額は、海外調査が可能な場合にはその調査の費用にあて、調査が困難な場合には書籍と資料の購入のために用いる予定である。
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