最終年度に当たるこの年もコロナ禍の最中であり、個人的にも様々なことが起こった時期であった。最初の科研費のテーマから、「平和」のテーマを扱ってきたが、この時期、このように大切なテーマになるとは、思いもしなかった。今回のテーマである人間の持つ「可傷性」の側面によく気付かされた一年であった。、業績という意味では機材や研究書などの入手が困難で迷惑をお願いすることになったし、また、特に印刷物などはなかったものの、今後研究活動を続けるにあたり、重要なポイントに気が付けることができた一年であった。ユダヤ系作家のベロ―やオジックの作品を分析するにあたって、次の新たなテーマに思い至る事が出来た一年であった。
(研究期間全体の研究(成果)の概要) 全体的に、人間の弱さ、傷つき易さに焦点を当てて、研究したように思う。戦や反乱などの解決には、共通基盤が必要であり、それを「強さ」に求めても、別の「力」や「暴力」につながり、限界があるように思われ、むしろ生物全体が持つ「可傷性」に焦点を当てるべきだと思い、文学作品の中にそのテーマを如何に扱っているのか考察を行った。研究を続けることで、ユダヤ系アメリカ文学の中には、このテーマが様々な形で扱われていることに、改めて、気付かされた。現在の世界情勢を考えても、意義深い観点であると思う。
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