研究課題
基盤研究(C)
ユダヤ系アメリカ文学作品に見られる「可傷性」のテーマを探った。特に、ソールベローの作品やグレース・ペイリーの作品を中心に考察を進めた。このテーマは、特にイスラエルを考察する際重要になる。特に大きな結論はないものの、作品の分析を通して、人間は「力」を行使する力強い存在ではなく、お互い簡単に傷つく弱い存在だからこそ意味のある存在であり、それ故に繋がり得る存在である、という事に気付くことが出来た。
ユダヤ系アメリカ文学
この研究の学術的意義は、多くの場合、文学研究を含む人文系の学問に於いても「戦争」「戦い」を主流のテーマとして考察してきた。むしろ、この分野における考察から一歩進んで、キーワードを「暴力」ではなく、「平和」を新たなテーマとすべき時期が来た、と思われるからである。一人で世界をつかさどる力強い人間の役割というよりも、人間の弱さに焦点を当てる時に到達しているかと思われる。お互いの「可傷清』に気付くことで、「平和」の基礎を作ることに貢献できるんではないか。