研究課題/領域番号 |
17K02597
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研究機関 | 静岡文化芸術大学 |
研究代表者 |
石川 清子 静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 名誉教授 (30329528)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | マグレブ文学 / ブアレーム・サンサール / モハメド・ディブ / レイラ・セバール / アシア・ジェバール / アルジェリア / モロッコ |
研究実績の概要 |
パンデミック拡大で当初の予定を大幅に変更せざるを得なかった年度である。国内外でのほぼすべての学会や研究会が中止、またはオンラインに変更となった。通常の活動ができないため停滞を余儀なくされたものの、そのなかでも次の6点は本研究の成果としてあげられる。 1)アルジェリア人作家ブアレーム・サンサールの小説『ドイツ人の村』(青柳悦子訳)の書評ウェブ掲載。自分も関わるマグレブ文学翻訳コレクションの一冊を詳細に読む機会を得て、広く紹介することができた。2)アルジェリア人作家モハメド・ディブ(2020年は生誕100年)の著作についてオンラインでの研究会での発表。当該文学の古典的作家の複数作品を見直して、アルジェリア文学の原点ともいえる、またアシア・ジェバールと創作時期が重なるディブを再考する契機となった。3)レイラ・セバール『ファティマ、辻公園のアルジェリア女たち』の翻訳作業を進め、ほぼ下書きの訳を終えた。アシア・ジェバール『乾き』の抄訳と解題を完成させた(次年度に発表予定)。4)これまで書いた論考をまとめて現代マグレブ仏語小説、女性、ポストコロニアル、移動(エグザイル、ディアスポラ)をテーマに書籍化について大まかな筋道をつけた。早めに実現したい。5)移民・戦争・女性というテーマ研究のため、次の資料を中心に書籍を収集した。アルジェリア戦争を中心に現在のアルジェリア近現代史研究を牽引するB.ストラの著作、モロッコ人作家A.タイアの小説と研究書、ポストコロニアルと女性作家関連の北米研究者の書籍、エグザイル、ディアスポラという観点から現代韓国女性作家、東欧系ユダヤ人作家の小説(和書)。6)アルジェリア地方紙An Nasrへのアシア・ジェバール特集への寄稿(未完)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
数年前から計画されていたアルジェリアでのシンポジウムが、アルジェリア国内情勢と昨年から収束を見ない新型ウィルス感染のため、実現の見通しがつかなくなった。また国内の移動も推奨できない現在、代替措置としてオンラインでの会合をしている。研究活動としての研究者の集まりは、やはり実際に対面して討議してこそ成果が得られるので国内外の自由な移動ができる環境を早く取り戻したい。 以上は個別的理由ではなく、全世界に共通する研究の遅れの理由であるが、それを除いては概ね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
新型ウィルス感染による諸事の停滞は今年度も続くと予想される。とりわけ公共交通機関での移動は慎重に行う必要がある。海外現地調査(作家インタビュー、研究者の交流、資料取集、関係者訪問)がほぼ実現不可能な状況下で、可能なものは積極的にオンラインで遂行する。 体系的な書籍購入(アルジェリア近現代史資料、モロッコ現代小説、移民や国外生活をテーマにした小説)を心がけ、マグレブ文学関連の翻訳作業を持続的に行い、論集刊行の準備を速やかに進めたい。また、ウェブ利用が重きを占める状況の現在、ウェブ関連の機器を最良にして研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス蔓延防止のため、国内外移動が制限されたため研究会、学会の現場での開催が中止、延期され、それに伴い旅費の使用が困難となった。とりわけ、現地調査やシンポジウム参加を予定していたアルジェリア、フランスへの渡航ができなくなった。 研究の再延長が確定したが、渡航はじめ国内での移動も安全が確保できない状況にあるため、状況を見極めながら旅費の使用を考えたい。同時に、書籍等の資料収集を継続して行う。オンライン利用の機会が格段に増えたのでPC機器などウェブ環境を整える。
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