マグレブ(北アフリカ諸国)を背景にもつ女性の書き手のフランス語文学(主に小説)や映画を「移民」「郊外」「記憶」という鍵語の下に読解、分析し、今日のポストコロニアル文学、世界文学、移動の文学が提言する問題を共有するさまを明らかにした。アシア・ジェバール、レイラ・セバール、ヤミナ・ベンギギらの作品研究を通じて論文、口頭発表、翻訳、著書のかたちで研究成果を発信した。旧植民地出身の作家かつ女性であるという点に焦点を当て、作品に見られる伝統の継承と断絶、過去の歴史の記録、新たなアイデンティティ構築という「越境」がもたらす普遍的営為を確認した。
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