研究課題/領域番号 |
17K02638
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研究機関 | 愛知教育大学 |
研究代表者 |
鈴木 達明 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (90456814)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 韓愈 / 荘子 / 屈原 / 唐宋変革 / 古文運動 / 柳宗元 / 諸子受容 |
研究実績の概要 |
昨年度からの先行研究の収集と関連文献の読解については、連携研究者とも協力して、一定の蓄積を得ることができた。本年度はそれを基礎として、韓愈・柳宗元の文集を中心に、諸子学の影響について考察を進めた。 その成果として、「「荘騒」の誕生――韓愈における文学としての『荘子』の受容」では、『楚辞』と『荘子』の併称である「荘騒」をキーワードとし、その語の最初期の使用者である韓愈が、なぜこの併称を使用するに至ったか、それはいかなる意義を持つのかについて論じた。 この研究を通して、唐代における『荘子』の受容の様相と、唐代中期に従来の思想的評価に加えて文学的な面への評価が行われるようになったこと、そしてその評価の転換に関して韓愈が極めて重要な役割を果たしたことを論証した。 韓愈の『荘子』評価は、個人的な特異性にのみ原因するものではなく、背景として同時期(810年頃)における、柳宗元や李コウらの古文家による諸子への文学的な評価を含む言及の増加があると考えられる。またその新しい『荘子』評価は、宋代以降の『荘子』受容に強い影響を与えた可能性が高いと考えられる。これらの点にいて、唐宋変革の萌芽期において、諸子学が古文家たちに与えた文学的・思想的影響の重要性が確認できたと言えよう。 なお昨年度より継続している研究活動として、『韓愈詩訳注』の作成のための研究会、唐代の幼学書に関する研究会への参加がある。それぞれ毎月一度を原則として定期開催を続けており、連携研究者とともに参加している。それらの研究会を通して得られる知見は本研究課題の推進に重要な役割を果たしており、同時に本研究課題の成果を還元する場ともなっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
唐代中期に作られた諸子の諸注釈の分析に関してやや遅れがあるが、研究成果を公表することができ、また今後の発表への準備もおおむね順調に進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
韓愈・柳宗元・劉禹錫を中心とした中唐古文家に関して、諸子学の受容が、その文学面・思想面について具体的にどのような影響を与えたのかの検証を進める。あわせて、唐代中期に於ける諸子学の変化についても検討する。
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