韓愈を中心とした中唐期の古文家たちにおいて、当時の諸子学の隆盛が与えた影響を具体的に示すことができたことは、中国学における巨大な包括的研究テーマである唐宋変革論の中で、特にその萌芽期における、文学・思想両面に及ぶ変化の発生原因やそのメカニズムを明らかにすることに関して重要な貢献を果たすものと考えている。また、諸子百家や韓愈・柳宗元らの散文は、現代の漢文教育において主要な素材となっているが、本研究の成果は、その中での繋がりや新しい読解を示すものであり、教育を通して社会的にも意義を有するものと言えよう。
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