研究期間全体を通じて実施した研究の成果については、科研費研究課題「音韻象徴性における調音ダイナミズムの研究」において、学会発表および研究論文発表を行なうことができたことがあげられる。交付期間に本研究の意義を見出し目的を達成することができたと考える。具体的内容としては日本音響学会(秋季・春季)、英語音声学会等において、計画年度に合わせ段階的に研究結果の発表を行い、また学会誌への投稿論文として研究結果を発信することができた。 本研究においては「調音ダイナミズム」という申請者オリジナルの言語研究モデルを構築し、当モデルの理論的確立をするために音声知覚実験による検証を行なった。実験については異なる母語話者群を対象被験者とし実際に完了することができた。実験実施については時間的、人数的条件などからすべてが計画通り順調に進行できない点もあり調整を必要としたこともあったが、最終的には当初の研究実施計画に基づいた研究成果を得ることができたと考えている。研究を進めていく上で、実際の研究方法の軽微な見直し、および今後の課題等も検討することができ、今後本研究実績を基にさらなる研究の発展を行ないたいと考える。 最終年度においては、全体の研究計画の見直しを含め、本研究の結果を学会誌にまとめ発表することができた。主に空間認知についての人間の五感と「ことば」の生成について問題提起する内容に及んだが、人間が「ことば」を使用する際の視覚情報処理と音声活動の連動・関係性をある程度まで明らかにすることができた。今後は、本モデルをもとに、音声学、生理学等の様々な分野からの知見を取り入れ、さらなる研究の発展をさせたいと考える。
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