「音韻象徴性」という言語現象について調音音声学を基盤とした客観的分析により検証したことは、新しい研究方法の一面を開拓するという点で学術的意義をもつと考えられる。人間言語の発現には視覚情報の認知と口腔器官の運動との密接な結びつきがあるのではないかという問題について「調音ダイナミズム」モデルから解明する手助けになったことは重要な意義をもつと考えられる。「ことば」が生起する根源的課題に目を向け、人間の音声言語表現に五感がどのような関わりをもつかという問題を提起することになった。人間社会で日常の言語コミュニケーションの手段ともなる「音韻象徴性」の役割を再認識する意義を示す結果となった。
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