研究課題
基盤研究(C)
本研究は、明治初期という、漢文訓読体が優勢であった時代に、「日本語」がどのように意識されていたのかを明らかにするため、漢訳聖書の影響をうけて翻訳された複数の「聖書」を資料としてとりあげ、漢文訓読語法や当時の俗語などの「やさしい日本語」がどのようにその中に含まれているのかを調査し、また、明治初期の翻訳小説などの漢文訓読語法と対照することにより、当時の「日本語意識」の形成過程を明らかにしたものである。
人文学
聖書の語彙・語法・文体の研究は、江戸から明治にかけての文章語の全体像を研究していく上で不可欠なものであり、日本語史研究および近代日本文学研究に貢献することができる。また、近代以降の文学作品をはじめ、聖書の語句は様々な形で引用されており(「初めに○○ありき」などという言い方はその典型であろう)、それらの表現がどのように形成されてきたのかも解明される。さらに、近代日本におけるキリスト教受容史、また、聖書翻訳学の研究面でも寄与できるものと考える。