研究課題/領域番号 |
17K02986
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
廣森 友人 明治大学, 国際日本学部, 専任教授 (30448378)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 第二言語習得 / 自律学習 / 動機づけ / 学習方略 / 学習内容 / 個人差 |
研究実績の概要 |
本研究では,自律学習の先導的研究者であるBensonの定義(Benson, 2011)を参考とし,自律学習が包含する概念を3つの観点(動機づけ,学習方略,学習内容)から統合的に捉え,自律的に学習に取り組み成果を上げる学習者をいくつかのパターンにプロファイリングすることを試みる。具体的に,2018年度は前年度に開発した「自律性診断基準尺度」を用いた実践的教育介入を行い,自律的に英語学習に取り組み成果を上げる学習者をいくつかの観点から統合的に捉え,学習者の特性に基づいた新たな学習支援のあり方について検討することとした。
プレテストの実施,プレテストの結果に基づいたフィードバック(教育介入),ポストテストの実施といったデザインに基づいた調査の結果,学習者の自律性が発達・変化するプロセスにはいくつかのパターンがあること,別の言い方をすれば,学習者の自律を高めるためのフィードバックの効果には個人差があること,さらに自律性が変化・発達するには学習内容に対する認識が重要な役割を果たしていることが明らかとなった。学習者の自律を高めるには,「今現在,どれくらい自律しているか」という一時点的な視点だけではなく,「これから先,どうなりたいか。そのために何が必要か」という縦断的な視点が必要であると考えられる。このように学習者の現状に加え,将来の目標なども考慮に入れることで,より多角的な観点から,一人ひとりの学習者にマッチした効果的な介入が可能になる。今後の研究では,学習の「なぜ」,「何を」を明確にすることによって,「どのように」学習すべきかを自ら考えられるように,より具体的かつ個々の学習者に寄り添ったフィードバックによる教育介入を実践し,そのことが学習者の自律に与える影響を検証する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画を踏まえ,順調に進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
自律的に学習に取り組み成果を上げる学習者をいくつかの観点から統合的に捉えることは,学習者の特性に基づいた新たな学習支援のあり方について提案できる可能性を意味する。今回,研究の対象となったのは高校生英語学習者だったが,この結果がより幅広い学習者集団にも当てはまるものなのかを検証するため,今後(2019年度)は中学生,大学生なども対象とし,より幅広い調査協力者に実際に教育介入を伴う調査等を通じて,そのことを実証的に検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外出張(具体的には,2019年3月に米・アトランタで開催されたアメリカ応用言語学会の国際大会など)が校務と重なってしまいキャンセルせざるを得なかったこと,またデータ入力,文字起こしの作業などを研究代表者自身が行ったため,人件費・謝金の支出が抑えられたため。
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