府県市町村の図書館・文書館などが所蔵する戦前期の町村報について調査し、全容が把握できるものは極めて少ないことが判明した。町村報の内容については、①国内・国際情勢の解説、②国家行政に直接関わるもの(徴兵制など)、③各町村が重点的に取り組む課題、④租税、⑤町村の行事、⑥各種団体からの情報、⑦町村民の意見表明、などに分類される。町村報のタイプは大きく分類すれば情報伝達・周知を重視したⅠ型と、一定の主張や思想を中心としたⅡ型に分類できる。ただし、満洲事変の開始によってⅠ型とⅡ型の差異は縮小し、日中戦争以降は両者ともに国家政策の公報的な性格を強め、動員のメディアとしての性格を強めていくことが判明した。
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