研究課題/領域番号 |
17K03257
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
米家 志乃布 法政大学, 文学部, 教授 (30272735)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 民間地図 / 日本 / ロシア / 北海道 / ロシア極東 / サンクトペテルブルク / 江戸東京 / 地域像 |
研究実績の概要 |
本研究は、19世紀から20世紀初めにおける日本とロシアの民間で作成され出版された地図の調査を行い、それらの地図やアトラス類に両国に北方・東方フロンティアがどのように描かれていたのか、それぞれの地域像を明らかにするとともに、地域像の比較を行うことを目的としている。その際、ロシアでは19世紀~20世紀にかけてロシア帝国の首都であるサンクトペテルブルクで出版された地図に注目し、日本では同時期に日本の首都となった江戸・東京で出版された地図に注目する。 本年度は、研究開始年度であり、基礎的な作業を行った。2018年8月にロシア国立図書館の地図部において、19世紀半ばにロシアではじめて地図の出版施設をつくり、多くのアトラスや出版地図、アルバム、教科書用の地図帳などを作製・出版したイーリン親子の地図群の所蔵調査を行った。その結果、19世紀末にモスクワの都市図の出版が多く、1890年・1895年・1897年などのものが確認できた。シベリア図や極東図もあり、それらはロシア地理学協会のシベリア支部の探検成果を図示したものである。これらの地図群は、持参したデジタルカメラですべて画像を撮影し、日本に帰ってからデータ整理を行った。また、今後の研究をすすめるにあたり、ロシアだけでなく、19世紀の日本で出版された北方図についても、北海道大学や北海道立図書館で閲覧・収集し、これまでの研究成果も整理しつつ、法政大学日本学研究所のワークショップや人文地理学会の特別研究発表で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2018年8月にモスクワのロシア国立図書館で行った地図調査の際に、体調不良となり、現地の医者にかかり、宿泊先で安静にするように言われた。数日間寝込むこととなり、資料の所在調査と閲覧・撮影の作業は当初の予定より大幅に遅れ、かつ閲覧する資料の数も少なくなってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
ロシアの地図上におけるフロンティアを論じるうえでは、ロシア極東だけでは不十分であり、ロシア帝国の拡大を考えると、西側(ヨーロッパ側)も把握しておく必要がある。そこで、今年度の研究計画であるサンクトペテルブルクでの地図調査の計画を変更し、ヨーロッパ方面の地域像にも目を向けていくため、バルト三国などのロシア帝国の西側の縁辺部において調査を行う予定である。 一方、日本での地図の所蔵調査は、北海道ではなく、江戸東京での民間地図の出版状況を調査する予定である。近代化を推進する東京から見たかつての蝦夷地である北海道がどのように描かれていくのか、出版地図における特徴を見出していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年の8月に行ったロシア調査において体調不良になり、その後も校務多忙のため、同年12月、2018年2月と体調不良が続いた。そのため、当初予定していた海外や国内での資料調査や作業を控えることとなったため、旅費や備品に関する研究費の使用額が予定通りにいかなかった理由による。次年度は海外での資料調査を2回程度行うことと備品購入もする予定である。
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