研究課題/領域番号 |
17K03257
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
米家 志乃布 法政大学, 文学部, 教授 (30272735)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ロシア / 日本 / 都市図 / アトラス / サンクトペテルブルク / 江戸東京 / 地域像 / フロンティア |
研究実績の概要 |
令和元年度(2019年度)は、2019年8月にフィンランド・エストニアでの補足調査を行い、9月にはサンクトペテルブルクでの地図史料の所在調査および史料撮影を行った。ロシア帝国の首都であるサンクトペテルブルクから見たロシア西方地域、バルト海沿岸地域というフロンティアがどのように把握されたのか、ロシアとエストニア・フィンランドの地域間関係の考察を行った。 サンクトペテルブルクでは、ロシア国立図書館地図部において、19世紀半ばにロシアで初めて地図の出版施設をつくり、多くのアトラスや都市図、アルバムや学校用地図帳などを出版したイリーン工房の地図について所在調査を行い、多くの地図を確認した。2017年8月にモスクワのロシア国立図書館地図部で調査を行った際、多くの地図帳やモスクワ図を確認して撮影を行ったが、本年度は地図帳(アトラス)だけでなく、首都であるペテルブルクの地図も確認し、撮影を行った。また、地図帳の複製版の出版も確認し、法政大学で購入し所蔵した。日本に帰国してからこれら史料のデータ整理を行っている。 一方、日本での地図調査・研究活動も進展した。近世近代日本の中心である江戸東京の都市図の作成や出版状況も把握し、その成果を法政大学の江戸東京研究センター主催の国際会議で報告した。また、近代東京の名所に関する地図もGISで作成する作業を行っており、江戸東京アトラスの作成も視野に入れている。日露の都市表象・地域像の在り方を比較検討するための考察を広げていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初は平成30年度(2018年度)までにモスクワ・サンクトペテルブルクでの地図調査を終え、その後ロシア西方のフロンティア像の調査を行う予定であったが、バルト3国やフィンランドでの調査を前倒しし、かつ令和元年度(2019年度)にサンクトペテルブルクでの調査を延期し、これを実施することができた。これにより、中心と周辺(フロンティア)の両方についての地図作成の特徴を考察することができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度(2020年度)は、本研究課題の最終年度であり、研究のまとめの年である。研究計画調書では再びモスクワでの文献・史料調査を予定していたが、コロナウィルスの感染拡大により、今年度のロシアでの調査は困難である。そこで、今まで収集した史資料を中心に研究成果を発表することと同時に、日本国内での調査と作業をすすめ、研究のまとめを行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に資料整理の謝金を支払う予定で残していたが、2020年2月からの世界的なコロナウィルスの感染拡大のため、研究協力者(本学の大学院生)による大学研究室でのロシアと日本の地図リストのデータ整理や地図内容の入力作業を自粛した。令和元年度(2020年度)もこの状況は続くが、研究協力者による地図のデータ入力の作業を今後はどのように行う方法があるか、テレワークでの作業についての方法も検討したい。
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