研究課題/領域番号 |
17K03303
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研究機関 | 大阪樟蔭女子大学 |
研究代表者 |
濱田 信吾 大阪樟蔭女子大学, 学芸学部, 講師 (00734518)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | テロワール / メロワール / 味 |
研究実績の概要 |
平成29年度は、連携研究者と現地協力者とともに実地調査への準備と文献収集を含めた基盤研究を予定し、(1)調査地訪問と今後の調査の実施に向けた打ち合わせ、(2)文献紹介を中心としたテロワール概念の整理のための研究会の開催、そして(3)場所が持つ味(テロワール・メロワール)への環境変化の影響に関する民族学的手法を用いた現地調査を目標とした。 その中で、特に(2)の国内外の文献と資料の収集・整理を行った。当初予想していた通り、ワインや日本酒に関連するテロワール文献とメディア資料は存在するが、海の味とも言えるメロワールに関して先行研究が乏しく、本研究がその基礎的役割を果たせるのではという認識を再確認した。 (1)(3)に関しては、調査地訪問が実現できず次年度に持ち越しとなった(下部参照)。(2)に関しては、本科研費申請時に未確認であった国内外の文献と資料の収集を行ったが、研究会は次年度に持ち越しとなった(下部参照)。特に、フランスやアメリカにおけるテロワール概念の歴史と実践に関する文献を収集し、本研究で取り組む日本におけるテロワール・メロワール概念の生成過程との比較考察の物的準備を進めることができた。 一方、国内の食研究者との交流を深め、食文化に関する共編著の出版が決定した。その中で、本課題に関連する執筆(テロワール)を担当することが決定した。また、2月にはフランス・パリで開催された研究会にて日本の沿岸社会における伝承食と場所の味、そしてアイデンティに関する発表をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
(1)(3)に関しては、本務校の授業がない夏期に実施予定であったが、海外研修の引率業務が入ったため、調査地訪問の時間を確保できなかった。冬期2・3月の訪問も、1月に子息誕生のため育児に注力する必要があったため調査出張の予定を変更し、資料収集と整理に努めた。
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今後の研究の推進方策 |
(1)(3)に関しては遅れているが、申請者がすでに6年間通して訪問している調査地であるため、研究協力者の確保と現地研究体制の確立に対して明確な困難はない。そのため、平成30年度夏期8月上旬に現地訪問する時間を確保し、甲府計画書通りに打ち合わせと聞き取り調査を開始する。(2)に関しても、日本特有の「場所の味」概念を分析するため、さらに日本の食文化研究や風土論なども文献資料も交えながら考察を深める。
(2)に関しては、現在海外研究機関に所属する研究協力者が帰国する7月中に研究会を実施する。研究協力者には、その後8月に申請者とともに調査地訪問に同行してもらう予定である。
(3)に関しては、実施が遅れている(1)を勘案し、9月中旬に実施予定である。その後、12月と冬期2・3月中に聞き取り調査を中心として現地での民族学的資料の収集を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度には平成29年度より、682,454円の予算が繰り越されている。これは29年度に予定していた現地訪問と調査の延期によりその旅費に当てていた予算が繰越となったためと、質的分析ソフトの購入を次年度に先伸ばしたためである。 平成29年度に実施できなかった現地訪問および調査を実施するのに使用する。また、夏期の現地訪問には研究協力者も同行する。また文献資料と実地調査からの資料の整理に利用する質的分析ソフトも購入も夏まで完了する。
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