2019年度は、研究課題の最終年度とし、①学会等で研究課題の成果を公表すること、②研究課題の総括を紀要等で公刊すること、の2つを目標に掲げ、研究を推進した。 第一に学会での個別報告は、2020年3月開催の早稲田大学・バーミンガム大学共催の国際シンポジウム(於:英国バーミンガム)での研究成果の個別報告を最終目標とし、2019年7月の早稲田大学比較法研究所・韓国経営法学会共催の国際シンポジウムでの個別報告「日本におけるスチュワードシップ・コードの機能と上場会社のコーポレートガバナンスに及ぼす影響」、同年11月の第91回証券経済学会での個別報告「役員報酬規制におけるスチュワードシップの役割」を実施し、コーポレートガバナンスにおけるプリンシプルの効果の研究成果を体系的にまとめながら、報告した。残念ながら2020年初頭の新型コロナウィルス感染拡大の影響により、バーミンガムでの国際シンポジウムは中止となり、総括となる成果報告はできなかったが、業績の公刊に向けた研究準備がその他の報告で整えることができた。 第二に、研究成果の公刊は、投資運用業等がスチュワードシップを果たすことにより投資先のコーポレートガバナンスの実効性を高めるとの仮説に基づき、「投資運用業等の受託者責任とスチュワードシップ」(名学56巻2号(2019年10月)1-34頁)において英国法との比較で仮説を検証し、上記の中止となったバーミンガムでのシンポジウムの報告予定資料を基に「市場規制としてのプリンシプルとその実効性確保」(早法95巻3号2分冊(2020年3月)607-637頁)において本課題研究の総括となるコーポポレートガバナンス・コード等のプリンプルの実効性確保に、私人による投資運用業等のスチュワードシップの役割の重要性を指摘し、その手法について詳らかにした。
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