米国の在庫担保取引では,債務者である企業の在庫商品やその売却益が包括的に担保に取られることが知られており,わが国でもABL等としてモデルとされることがある。初期融資者の優越がみられる米法においても,後発の与信者の存在は看過できず,先行する担保がカバーしているはずの価値からの債権回収の方法がとられることもある。本研究では,後発与信者が目的物(動産および動産担保証券)の一部の譲渡・引渡しを受けることで先行する担保権の追及を受けない回収を認めるべき範囲に関連して,米法の動産対抗要件制度が,登記制度の存在を前提に,善意取得に類似する制度の修正の幅で調整されているという枠組みを明らかにした。
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