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2019 年度 実施状況報告書

主観的リスクの現代的変容と保険カバーの法的対応

研究課題

研究課題/領域番号 17K03491
研究機関立命館大学

研究代表者

竹浜 修  立命館大学, 法学部, 教授 (40188214)

研究分担者 山下 典孝  青山学院大学, 法学部, 教授 (00278087)
土岐 孝宏  中京大学, 法学部, 教授 (70434561)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワード主観的危険 / 故意免責 / 被保険者の重過失 / 保険者免責事由 / 意思能力の減退 / 自殺免責 / 特別条件付承諾 / 闘争行為免責
研究実績の概要

本年度は、高齢化や認知症等に伴う主観的危険の変容に対する保険カバーの面では、竹濵修「意思能力の減退と被保険者の重過失」論文が軽度認知症までの段階では、日常生活に大きな支障を生じさせるには至っていないことから、なお従来通りのルールの解釈適用が可能であるが、中等度認知症以上のレベルの意思能力ないし判断能力になるときは、もはや通常人基準のルールの適用は困難であり、それらについては、一般に傷害保険契約においては、精神障害による事故または精神障害中の事故としての保険者免責が妥当することが明らかとなった。このため、このレベルの人の危険をカバーするには、別途の方法、たとえば、認知症保険などとして商品化されている保険により保障することが適切である旨を論じている。その他、生命保険契約の締結前発病に関しては、山下典孝「特別条件付承諾と承諾前死亡に関する諸問題」論文が、保険者が、通常の引受範囲よりは高度の危険になる被保険者の罹患している病気等につき告知がされ、保険料を増額するかまたは当該疾病による保険事故を除外して引き受けるかという判断をして申込みを承諾することとなるが、その承諾前に被保険者が死亡した場合の問題に関する現在の解釈適用状況を明らかにしている。
一方、損害保険分野については、山下典孝「賠償責任保険における被保険者の故意免責と無保険車傷害特約の闘争行為免責の適用可否」論文が、判例研究として現状の約款規定に基づく妥当な解決を提示している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

生命保険や傷害保険などの人保険分野における高齢化や認知症、精神障害などを原因とする意思能力低下時における保険カバーの課題については順調に研究を進捗できたが、損害保険分野の最新のAIなどを利用する際の主観的危険に関する諸課題については、この間の道路交通法の改正など、新たな立法やルールの改訂、さらには技術的な進歩のスピードとともに、日々進展する動向について十分にキャッチアップすることが容易でなく、捗らなかったことから、遅れが認められる結果となった。

今後の研究の推進方策

最終年度においては、遅れている損害保険分野のAI等を利用した最新技術に伴う主観的危険の保険カバーに関する課題を中心に検討を進め、現段階での研究結果をまとめることとする。本年度は、感染病拡大防止のため、研究に必要な広範囲に及ぶ活動が困難な状況があるため、現段階までの資料等を中心にして研究に取り組むことによって、現状の課題と展望を明らかにする方向で研究成果をまとめることとする。

次年度使用額が生じた理由

本研究についてその進捗が少し遅れたことにより、当初支出予定の費用が支出されなかったことから、残額が生じた。このため、研究期間の1年延長を申請し、許可を得たので、最終年度として本研究課題をまとめるに際して必要となる費用としてこの残額を使用する計画である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (3件) (うちオープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] 意思能力の減退と被保険者の重過失2020

    • 著者名/発表者名
      竹濵 修
    • 雑誌名

      立命館法学

      巻: 387・388号 ページ: 131-161

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 特別条件付承諾と承諾前死亡に関する諸問題2020

    • 著者名/発表者名
      山下典孝
    • 雑誌名

      青山法学論集

      巻: 61巻4号 ページ: 219-243

  • [雑誌論文] 賠償責任保険における被保険者の故意免責と無保険車傷害特約の闘争行為免責の適用可否2019

    • 著者名/発表者名
      山下典孝
    • 雑誌名

      法律のひろば

      巻: 72巻8号 ページ: 67-74

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公開日: 2021-01-27  

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