研究課題/領域番号 |
17K03491
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
竹浜 修 立命館大学, 法学部, 教授 (40188214)
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研究分担者 |
山下 典孝 青山学院大学, 法学部, 教授 (00278087)
土岐 孝宏 中京大学, 法学部, 教授 (70434561)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 主観的危険除外 / 保険者免責 / 重過失免責 / 故意免責 / 自動運転 / 自殺免責 |
研究実績の概要 |
最終年度は、自動運転車の実用化が現実になりつつある現状に即して、道路交通法および道路運送車両法の2019年の改正およびそれを受けた2020年度の国土交通省令や各種告示を踏まえ、自動運転における被保険者の故意・重過失による事故(主観的危険による事故)がどのようにカバーされ、またカバーから除外されるのかを検討した。これらの法令は、レベル3(「条件付運転自動化」であり、走行環境条件に合致する間は、自動運行装置がすべての運転タスクを実施するが、その作動継続が困難な場合には、運転者がその装置からの介入要求等に対して適切に対応することが求められる)に対応する法整備であり、主としてこのレベルを前提にした検討を行った。 その結果、故意の事故事案は、通常、保険者免責となることは間違いないが、故意事案は装置を意図的に破壊ないし停止させるなど、多くは考えにくいものである。これに対して、重過失の事故事案は、自動運転から運転者が適切に介入する場面において、多く問題になり得るであろうが、そこでの落ち度につき軽過失は相当にありうると想定し得るが、重過失の責任を問える程度にまで及ぶことが頻繁に生じるとは考えにくいという結論に至った。その意味では、自動運転車の自動車保険においては、過失事故は、重過失が認定できる事案は多くなく、保険カバーが利くことが広がると考えられ、楽観視できるのではないかという結果になった。 このほか、ドイツ保険契約法との比較研究の残された部分として、告知義務違反の場合の因果関係不存在特則との関係の検討も行った。これは、わが国の解釈論に直結するものではないが、わが国の通説・判例がいう因果関係不存在の厳格な認定と比べると、ドイツ法は、保険契約者側に有利な解釈論を展開しており、これがわが国の解釈にも一つの参考資料を提供するのではないかという指摘を行っている。
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