1980年代以降、日本を含む先進各国では新自由主義的改革が進められた。自由主義的改革とは、端的には「大きな政府」から「小さな政府」への転換を意図して行われるものである。具体的には規制緩和、国営企業・公社の民営化、公務員の削減などである。換言すれば、市場の活性化と企業活動の自由度の向上を図るものである。しかしながら、実際には新自由主義の潮流の下で、むしろ政府による規制が強化される場合もある。本研究は、日本のコーポレート・ガバナンス改革や競争政策(独占禁止政策)を事例にして、新自由主義思想を背景とする制度改革が取り組まれた1990年代以降、政府による規制強化が進めらたことを明らかにした。
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