本研究では、第一に、東京都と大阪市の水道事業を事例として、同じ制度環境の下にあっても、組織の自律性の違いによって、経営の論理が異なることを明らかにした。もっとも、日本の地方公営企業法では、組織が完全に自律的になることはなく、地域社会からの影響を常に受けることも明らかにした。 第二に、本研究では、ドイツの地方公企業制度の特性と、ドイツにおける水道事業の民営化と再公営化の過程と成果を明らかにした。ドイツの水道事業では1990年代以降、民営化が実施されてきた。民営化は事業から生じる利益の分配構造に影響を及ぼす。本研究では、それに対する不満から再公営化が実施されてきたプロセスを明らかにした。
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