研究課題/領域番号 |
17K04053
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
会計学
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
榎本 正博 神戸大学, 社会システムイノベーションセンター, 教授 (70313921)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 投資の効率性 / 利益の質 / コーポレート・ガバナンス |
研究成果の概要 |
本研究ではまず1991年から2014年までの長期データを用いて,わが国の利益の質と投資の効率性についてその変化に着目した。2001年までは利益の質と投資の効率性の間に関係は見られないものの,2001年以降では関係が見られた。この結果は,銀行借入金依存度,持合比率(系列の代理変数),メインバンクの影響の低下というコーポレート・ガバナンスの変容により会計情報が重要になったと推測された。他には親子上場というわが国の特徴に着目した研究,コーポレート・ガバナンスに重要な影響を与える継続企業の前提に関する重要な疑義に関する情報が付された企業に対する研究を行った。
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自由記述の分野 |
財務会計
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の長期データを用いた分析の含意は,企業とステイクホルダー間における私的情報の公的情報の代替関係を示したことである。私的情報の交換が盛んであった2000年より前には,利益の質と投資の効率性に関係が見られていないが,近年においては財務報告の質が投資効率性に影響を与えていることを示唆している。これは銀行依存度の低下,系列,メインバンクの弱体化により,私的情報の重要性の低下を公的情報(財務報告制度)の有用性が増すことで補ったことを意味し,ディスクロージャー制度の充実が企業の実体的側面にも影響を与えることを示した意義がある。
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