研究課題/領域番号 |
17K04162
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研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
石原 俊 明治学院大学, 社会学部, 教授 (00419251)
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研究分担者 |
有薗 真代 明治学院大学, 社会学部, 研究員 (90634345)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 島嶼 / 疎開 / 動員 / アジア太平洋戦争 / 小笠原群島 / 硫黄列島 / 伊豆諸島 / 大東諸島 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、小笠原群島・硫黄列島、伊豆諸島、大東諸島、先島諸島、奄美群島など、日本のいわゆる南方離島(研究が著しく進捗している沖縄諸島を除く)の人びとが、アジア太平洋戦争末期から戦後にかけて強いられた疎開・動員と帰還・離散をめぐる諸経験に関して、比較歴史社会学的研究を行うことにある。 本年度は新型コロナ・パンデミックのために、離島現地での調査は不可能になり、非大都市圏への出張も難しくなった。また春学期の授業期間は、オンライン授業の準備や関連校務に追われて、研究活動にほとんど従事できなかった。それでも、大学の夏季休暇開始後、年度末にかけて、研究に振り向けることのできるリソース(時間・労力・資金)のほぼすべてを、本課題にかかる未収集の一次資料の収集・分析と成果論文の執筆に注ぎ込んだ。 一次資料の収集は、東京では国立国会図書館本館、国立公文書館、東京都立図書館、東京都公文書館、防衛研究所閲覧室を中心に、関西では国立国会図書館関西館を中心に実施した。また、夏季休暇中に京都大学の国内研究員(私学研修員)の身分を得て、京都大学の学内各図書室が所蔵する関連資料を渉猟した。さらに、勤務校である明治学院大学図書館スタッフの多大なる協力を得て、ILLを最大限駆使し、国内の各大学図書館・各公立図書館が所蔵する関連資料を連日取り寄せ、読み続けた。 以上の作業の甲斐もあって、南洋群島に始まり内地の南方離島で展開した、島嶼地上戦を想定した住民の強制疎開/軍務動員について、その軍事政策的背景、相互連関、歴史的影響を総合的に記述した論文を完成させることができた。この論文は、石原が編者の一人を務める、「戦争と社会」と題する5巻本の講座シリーズ(2021年末刊行予定)のなかに収められ、公表されることになっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナ・パンデミックのために、南方離島現地での資料調査やインタビュー調査は不可能になったが、その反面、「研究実績の概要」欄で述べた通り、大都市圏(首都圏と関西圏)で可能な一次資料調査を徹底的に実施した。その結果、本研究領域でスタンダードになると思われる論文を、完成させることができた。本課題は「順調に進展している」と評価してよいものと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナ・パンデミックの影響により、研究期間を1年間延長した。ただし、「研究実績の概要」欄で述べたような、強い制約下で調査研究を持続可能なものにするためには、相当額の予算を必要とした。それゆえ、次年度に繰り越される予算はさほど多くない。また、本研究課題が当初目指した水準の80%以上はすでに達成されたことから、今後は次期プロジェクトへの橋渡しを意識した研究活動が中心となろう。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスのパンデミックにより約20万円の繰越金が生じたが、この金額は多いとはいえず、また既述のように本研究課題の当初目標の80%以上は達成されたため、次年度は次期プロジェクトへの発展を見すえた活動に使用する予定である。
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