研究課題/領域番号 |
17K04245
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研究機関 | 聖徳大学 |
研究代表者 |
高尾 公矢 聖徳大学, 心理・福祉学部, 教授 (50167483)
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研究分担者 |
赤羽 克子 聖徳大学, 心理・福祉学部, 教授 (90369398)
宇佐美 尋子 聖徳大学, 心理・福祉学部, 准教授 (30581962)
佐藤 可奈 聖徳大学, 心理・福祉学部, 講師 (90595894) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 介護職員のストレス / 暴言・暴力 / 積極的コーピング / 積極的コーピング / 認知症ケア / 介護職員の効力感 |
研究実績の概要 |
平成29年度に「介護職員」を対象として認知症ケアにおける介護職員が受けるストレスと就労継続の意思との関連を明らかにするための介護職員の効力感、ストレス反応尺度、コーピング尺度を作成して質問紙調査を(量的調査)を実施したが、平成30年度は得られたデータを基に統計的分析を行った。 回答者の内、利用者やその家族からの暴言・暴力の有無に関しては、「受けたことがある53.0%、受けたことがない47.0%」であった。内容は、回答率の高い順に「利用者から殴られた・叩かれた」「利用者からの暴言」「利用者からつねられた」「利用者から蹴られた」等であった。暴言・暴力の生起に影響する介護職員の要因として、「介護職員の性別・年齢・ソーシャルスキル・コーピング」を想定し、暴言・暴力を受けたことがある者と受けたことがない者でこれらの要因に違いがあるのかについて検討を行った。性別に関しては、χ2(1)=0.06、p=.81であり有意差はみられなかった。年齢、ソーシャルスキル及びコーピングに関しては、t検定を行った結果、年齢t(630)=0.50、p=.62,ソーシャルスキルt(589)=0.22,p=.83、積極的コーピングt(584)=1.26,p=.21、消極的コーピングt(583)=0.11、p=.91ですべて有意差はみられなかった。 暴言・暴力の生起は、介護職員の性別や年齢、対人関係のスキルや問題対処の上手さといったケアの質等に関連する個人的要因に起因するものではないことが示唆された。さらに、暴言・暴力の経験が介護職員のストレスに与える影響については、暴言・暴力の経験が介護の負担感を高め、活気を失い心身のストレスを高めることが示唆された。組織的に暴言・暴力の対応策や予防策、暴言・暴力を経験した職員に対するストレスケアを検討する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
認知症ケアに従事する介護職員のストレスを質問紙法によって解明してきたが、利用者やその家族からの受ける暴言・暴力の経験が介護職員のストレスに与える影響については、暴言・暴力の経験が介護の負担感を高め、活気を失い心身のストレスを高めることが示唆された。組織的に暴言・暴力の対応策や予防策、暴言・暴力を経験した職員に対するストレスケアを検討する必要がある。そのためには介護職員へのインタビュー調査(質的調査)が必要であり、今後は統計的調査結果を基にしたインタビュー調査を実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方法は大きく二つある。一つは認知症ケアに従事する介護職員のストレスと、利用者及びその家族から受ける暴言や暴力の経験との関係をインタビュー調査によって解明することである。二つ目は認知症ケアに従事する介護職員の離職意向とストレスとの関係をインタビュー調査によって解明することである。両インタビュー調査共に半構造化面接によるインタビュー調査を実施し、修正版グランドデット・セオリー・アプローチ(M-GTA)を用いて分析を行う予定である。M-GTAは質的データから理論構築を行う手法である。今後は統計的調査結果を基にしたインタビュー調査を実施する予定である。その手法は、介護職員へのインタビューを行い、得られた結果を文章化したうえで細分化し、特徴的な単語や内容をコーディング化し、データ化し、蓄積していく。そのうえでコードを分類(カテゴリー)して分析を行うことになる。
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次年度使用額が生じた理由 |
介護職員のストレスと就労継続意思との関連を分析するために、インタビュー内容を解析するコンピューターソフトを購入予定であったが、購入時期を次年度に変更した。また、計画していた訪問介護事業所の介護職員を対象とした全国8地域「質問紙調査」の実施を、次年度に変更した。 次年度は上記の分析と調査を実施するために、残額はコンピューターソフト購入費と質問紙調査の印刷費・通信費に充てる。
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