研究課題/領域番号 |
17K04299
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研究機関 | 東大阪大学短期大学部 |
研究代表者 |
西木 貴美子 東大阪大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (80634302)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 非行 / 表情認知 |
研究実績の概要 |
非行少年の表情認知能力の課題を明らかにするために、表情認知検査を作成し実施した。また、非行内容等と表情認知能力の関係を明らかにするために、少年の非行歴・非行内容・少年院入所回数・被虐待経験等の調査を行った。 表情認知検査は紙媒体の質問紙様式で作成した。検査に使用する表情は、Ekman,P.(1982)が提唱する人の基本感情である「幸福,悲しみ,怒り,嫌悪,恐怖,驚き」の6感情の表情を用いた。検査は、日本人を使用した表情のデータベースとして現在入手可能であるATR顔表情データベース(株式会社ATR- Promotions制作・表情評価実験済み)と標準化された顔画像セット(JACFEE:Japanese and Caucasian Facial Expressions of Emotion,Humintell)に収録されている男女各4名の写真(カラー写真)を用いて作成した。 検査対象者は、非行群として本研究の趣旨説明をして研究協定を結んだ少年院に入所中の少年の協力を得た。検査実施にあたり、本人及び保護者に本研究の趣旨を説明し、本人及び保護者の同意を得た。検査は本研究の研究協力者である少年院教官が行った(対象少年43名)。また、少年の非行歴、非行内容、少年院入所回数、被虐待経験等の調査も実施した。対照群は非行群の少年の年齢・性別を鑑みた研究に同意を得た非行歴のない、発達障害・精神疾患の診断を受けていない者に実施した(対象者53名)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
少年院を訪問し本研究の趣旨説明を行い、本研究への理解を得られた1施設と研究協定を結ぶことができた。研究協定を結んだ少年院に入所中の少年(非行群)に対し、本研究の研究協力者である少年院法務教官が研究の説明・研究協力依頼を行い、同意を得た少年を対象に表情認知検査を実施した。また、非行群には、非行歴・非行内容・少年院入所回数・被虐待経験等の調査も実施した。 対照群として、非行群の年齢・性別を鑑みた研究に同意を得た非行歴のない、発達障害・精神疾患の診断を受けていない者に表情認知検査を実施した。 非行群と対照群の検査結果を統計データとして処理を行い、今後の分析に備えている。非行群・対照群ともに現在も引き続き検査を実施しており、データの収集に努めている。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度実施の表情認知検査・非行歴等の調査結果の統計的分析を行う。分析方法は、①表情別の認知の正確性、②他表情への誤認傾向、③非行歴・非行内容・少年院入所回数・被虐待経験等と表情認知能力との関連、を予定している。これらの分析を通じて、非行少年の表情認知能力の特性を明らかにする。 また、先行研究を参照にし、表情認知能力向上のための訓練プログラム(静止画・動画)の開発を行う。今年度実施した表情認知検査の結果、表情認知に課題があることが明らかになった者を対象に、開発した訓練プログラムを実施し、その効果について検証を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究協力機関への研究趣旨説明・研究協力依頼に時間がかかり、研究協定を結ぶまでに予定より時間がかかった。また、研究代表者の所属先の研究倫理審査に時間を要した。以上2点の理由から研究の開始が遅れ、支出額が予定よりも少なくなった。
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